三美大染織専攻交流展「つながる糸 ひろがる布」が現在、「金沢学生のまち市民交流館」(金沢市片町2)で開催されている。
【VRで読む】金沢学生のまち市民交流館で開催中の「つながる糸 ひろがる布」
同展は「金沢美術工芸大学」(小立野5)、「東京芸術大学」(東京都台東区)、「京都市立芸術大学」(京都府京都市)で染織を学ぶ生徒らの交流と研究発表を目的に開かれている。各大学が持ち回りでホスト校を務め、今年6回目の開催として金沢美術工芸大学が町屋空間を使った展示に挑戦した。
金沢美術工芸大学染織コースの加賀城健准教授は「前回の金沢開催は金沢21世紀美術館市民ギャラリーが会場だった。今回はホワイトキューブと対比する町屋空間で、一から展示方法を考えることも含め、将来の染織を担う学生たちにとって貴重な経験になればと考えた。見る人も迷路のように作品を探したり、町屋建築の面白さにも注目したりと、幅広く楽しんでいただきたい」と呼び掛ける。
同展には各大学から選抜された学生5人と賛助出品する教員2人ずつが出展し、全21作品が集まった。事前に館内の写真を撮り、出展する学生らに希望の展示場所を聞いた。町屋の写真から湧いたイメージで作品を制作したという人や、空間を意識した作品を用意した人も多く、会期直前に初めて展示会場を訪れた学生も多い中、「町屋に寄り添い響き合う展示になった」という。
土蔵に作品「望膜08」を展示した金沢美術工芸大学の岩井美佳さんは、「絵画は平面の紙の上に絵がのるが、染色で制作する布にはよく見ると奥行きを感じる視覚的空間がある。裏から染めたり前から染めたり、友禅の糊を使ったりと、薄い層を重ねた。花が咲いて枯れそうになっている様子から、失われるときにもどこかに美しさが残ってほしいという思いを込めた」と解説した。「三美大で同じ染織を扱っていても、それぞれの大学や作品には味や個性がある。一校だけの展示では分からない、同じ学年でも染織には広い幅や表現方法、考え方があると知ることができたいい機会」と話す。
開館時間は11時~19時。月曜休館。入場無料。9月11日まで。