金沢市役所近くの「しいのき迎賓館」(金沢市広坂2、TEL 076-261-1111)で現在、「マークエステル展」が開催されている。
フランス人画家のマークエステル・スキャルシャフィキさんは青年期、巨匠・シャガールに絵描きに向いていると勧められるほどの才能を持つも、27歳まで外交官として働くという異色の経歴の持ち主。大阪万博の際に日本を訪れ、京都の清水寺で見た水墨画の美しさに衝撃を受けて、画家の道に進むことを決意。日本で画家としての活動を始めた後、「古事記」の世界に魅了され、ライフワークとして日本神話を題材とした作品を多く手掛けている。九谷焼や漆なども作品に取り入れ、石川県観光特使にも任命された。
1996年に「伊勢神宮」への作品奉納依頼を受けたことを機に、21年間で日本国内176社の神社に作品を奉納してきた。石川県内では2011年に「白山比咩神社」(白山市三宮町)へ作品を奉納。3月2日には「尾山神社」(尾山町)へ第177回として、画布に油彩で描いた作品「加賀百万石の礎を築いた前田利家公とお松の方」を奉納した。同展はそれを記念し、マークエステルさんの個展として作品を紹介する。
会場には油彩画や手彩入ジクレー版画をはじめ、ガラス工芸品やブロンズ像、陶器など約150点を展示。古事記をテーマにした作品や、日本国内の景色やベニスの風景などを捉えた作品、花束をモチーフにした作品などが並ぶ。山中温泉の観光名所・こおろぎ橋を描いた作品や、九谷焼の器など、石川県と縁のある作品も。
色彩の魔術師とも呼ばれるマークエステルさんは「僕の作品は色の美しさが特長。ヨーロッパとアジアの色合いを混ぜた色で、あまり日本では見ない色彩ではないかと思う。また、愛情を感じる作品も多く展示しているので、見た人に世界的な愛を感じ取ってもらえれば」と話し、今後の展望について「石川観光特使として、将来的には加賀友禅の着物などにも取り組んでみたい」と話した。
開場時間は10時~19時(最終日は15時まで)。入場無料。3月11日まで。