白山市法仏町で9月27日、田の収穫に感謝する祭り「古(いにしえ)に新あり 田想い感舞(たおもいかんまい)」が開催され、田んぼを舞台に披露された舞と和楽器の演奏が、訪れた約500人の客を魅了した。
会場は金沢近郊の白山市に位置する石川県内最大のニュータウン「千代野ニュータウン」に程近い、白山市法仏町内の収穫後の田んぼ。祭りは日没が迫る17時ごろから神主によるお払いが執り行われた後スタート。沈みゆくオレンジ色の夕日を背景に、和菓子店「圓八」による餅つき、石川県内を拠点に活動する「和太鼓OTOsound」の演奏が披露された。
夕日が沈むと三日月を背景に、かがり火とろうそくの炎に照らされた幻想的な田んぼの舞台が出現。和楽器の演奏をバックに、白装束を身にまとった日本舞踊家の藤間信乃輔さんが、田への感謝の思いを込めた即興の舞を約30分間披露した。来場者は振る舞われたおにぎりと日本酒を楽しみながら、幻想的な雰囲気での競演に酔いしれた。
餅つきを披露した和菓子店「圓八」専務の村山勝さんは「田んぼへ感謝する新しい祭りをつくりたいという藤間さんの強い思いに共感している。祭りが続く限りサポートしていきたい」と話した。同舞台でつかれた餅は、同社の代表銘菓「あんころ餅」約250食にされ、来場者に無料で振る舞われた。
もともとは、同祭りの企画・構成・演出も手掛ける藤間さんが一人で発案し、同地内の田んぼの中で舞う許可をもらい始めたのもので、今年で8回目を迎える。6回目から設立された実行委員会の委員長を務める柏野伝一さんは「もともとこの地域ではみこしや獅子舞などの大きな祭りはなかった。石川を代表する伝統芸能の方々を、毎年入れ替わりで招聘(しょうへい)するようにして演奏や舞を楽しむことができる大変ぜいたくな祭り。ぜひ今後も町の祭りとして継続していきたい」と抱負を話した。「地区の住民だけでなく、その他地域のたくさんの方にも参加してほしい」とも。