金沢市内で9月22日、小売店や飲食店、工房などとして活用されている金澤町家を巡り、その建築と店主らの魅力に触れるイベント「金澤町家巡遊2013」が始まった。初日は九谷焼絵付け体験教室などが開かれ、参加者が趣のある日本家屋の中で楽しいひとときを過ごした。
主催は大学教員や建築家、技術者、住人ら約70人で組織する「金澤町家研究会」。
金澤町家は1950(昭和25)年以前に建てられた木造住宅の総称で、市内に約6000軒あるが、毎年、約100軒が取り壊されている。空き家も多いことから、所有者や興味を持つ人に活用例を紹介し、参考にしてもらおうと、毎年秋に同イベントを開催している。
今年のテーマは「町家と仕事」。8日間の会期中、約40軒で店主が苦労話や夢を語る講演会や、見学会、限定メニューの提供など64事業を繰り広げる。
このうち、「工房ひょんの木」(香林坊2)では22日、九谷焼絵付け体験教室が開催された。同所は江戸時代末期ごろに建てられた築約150年の旧・武家屋敷。周辺では取り壊される家屋が多い中、この家に四女として生まれ、能美市寺井町に嫁いだ伝統工芸士で九谷焼作家の井出幸子さんが「貴重な家を多くの人に見てもらいたい」と、昨年6月から絵付けやスケッチの教室として利用している。
この日は友人の岡鶴美さんと共に、参加者に筆の使い方や五彩絵の具の使い方を手ほどきした。
参加したかほく市高松小学校5年、酒井千鶴さん(11)は角皿に水玉の花瓶と花を描き、妹で同小学校3年の美音さん(8)は取り壊された保育園にあった桜の木を思い出しながら、小皿に桜の花をちりばめた。
千鶴さんは「全く違う色(の五彩絵の具)なのに、焼くと緑色や黄色になるのが面白い」と目を輝かせ、美音さんも「好きなお茶わんを作れて楽しい」と声を弾ませた。
金澤町家巡遊の催し内容、時間、会場は同イベントのホームページで確認できる。講演会、見学会は予約制のものがほとんどで、予約状況はブログに掲載している。料金は催しによって異なる。問い合わせは同研究会事務局(TEL 076-253-3517)まで。9月29日まで。