加賀藩の初代藩主前田利家の金沢城入城を再現する「百万石行列」が6月1日、金沢市内で行われた。俳優の松村雄基さん（49）扮（ふん）する利家と、女優の大河内奈々子さん（35）扮する正妻の「お松の方」、ロンドン五輪柔道女子57キロ級金メダリストの松本薫選手（25）＝同市出身＝ら総勢約2500人が約40万人（主催者発表）の観衆が見守る中、パレードした。

松本選手らロンドン五輪に出場した6選手も市内を練り歩いた

　同行列は、5月31日に始まった「金沢百万石まつり」のメーンイベント。今年は、松本選手やウエートリフティングの八木かなえ選手（20）＝金沢学院大学スポーツ健康学科3年＝ら同五輪に出場した石川県ゆかりの6選手が初めて先導隊として参加し、2020年五輪東京招致への協力を呼び掛けた。

　主役の利家とお松の方は毎年、俳優と女優が演じている。資料を読み、役柄のイメージを膨らませたという松村さんは、金色の甲冑（かっちゅう）に身を包み、馬にまたがってさっそうと登場。JR金沢駅から金沢城公園までの約3.5キロを、加賀の礎を築いた藩祖の目線で見渡しながら行進し、観衆の声援に爽やかな笑顔で応えた。

　一方、「良妻賢母の奥ゆかしさや優しさを表現したい」と考えていたという大河内さんは、あでやかな朱色の着物をまとって車上でしとやかに手を振り、勇ましい利家とのコントラストを描いた。

　行列を締めくくる「入城祝祭」では、松村さんがやりを手に、観衆と声を合わせてかちどきを上げ、「松と共にこの地を守ろうぞ」と誓いを立てた。大河内さんはにこやかにこれに応じ、「夫婦仲」の良さもアピールした。

　終了後の記者会見では、松村さんは「今の金沢を感じることができた。まち全体が、僕に利家公を教えてくれた気がした」と感慨深げに語った。大河内さんは「こんなにたくさんの笑顔を見せてもらえることはないので、とても幸せ」と、満足そうにパレードを振り返った。