31組の工芸作家・職人が1カ月分の朝食の器を提案する企画展「1カ月の朝ごはん」が現在、石川県立伝統産業工芸館(金沢市兼六町、TEL 076-262-2020)で開催され、来館者の注目を集めている。
参加するのは、陶芸、ガラス工芸、漆芸、木工、金工の作家たち。それぞれが架空のカレンダーに基づいて担当したい日を選び、メニューを考案、それに基づいて食器を制作した。
1日を選んだ木工の中矢嘉貴さん(静岡県)の献立は、バタートーストと、「ソラマメとスクランブルエッグのマヨネーズあえ」、イチゴ入りヨーグルト、アップルティー。トースト用には木目の美しい木の皿を用意し、爽やかな朝食風景を演出する。
土曜日に当たる18日を受け持つ金工、澤田健勝さん(高岡市)は、ご飯、ナメコのみそ汁、銀ザケの塩焼き、だし卵、野沢菜の漬物の和食を想定する。用いるのは鉄製の一人膳で、中空に一輪挿しをつり下げ、花を愛(め)でながらゆったりと食事を摂(と)れる静かな空間をつくり上げた。20日の月曜日は、漆芸、大島太郎さん(加賀市)の卵かけご飯とインスタントみそ汁の朝食で、中央のくぼみに卵をのせられる、専用の木製ふた付き茶わんを紹介した。
同館副館長の柳井篤子さんは「朝食を抜いてしまう方が多いが、例え簡単なパンと飲み物であっても、お気に入りの器を使うことで、豊かな気持ちで一日が始められることもある。企画展を通じて、『朝ごはん抜きの生活なんて考えられない』と思ってもらえたらうれしい」と話した。
一部の作品は、館内のミュージアム・ショップで販売している。
開場時間は9時~17時。第3木曜休館。入場料は、18歳以上=250円、17歳以下=100円、6歳以下=無料、65歳以上=200円。5月29日まで。