和紙インテリア施工、創作和紙製造・販売の「浅倉紙業」(金沢市浅野本町1)は10月17日、「東京ビッグサイト」(東京都江東区)で開幕する「IFFT(東京国際家具見本市)」に、和紙で作った花器を出展する。「水に弱い」という紙の特性を逆手にとり、意外性を追求した新製品で、開発者たちは来場者の反響を楽しみにしている。
商品名は「kamiwan(かみわん)」。厚さ約0.1~0.2ミリの和紙を口側の広い八角柱の形に貼り合わせ、樹脂系塗料で塗装して耐水性を持たせてある。
白色と墨染めの2種類があり、白色のものは金沢市二俣町と富山県上平村の五箇山の職人がそれぞれ地元で採取したコウゾを原料にして、手ですいた和紙を使った。細筆で細かい文字を記すのに適した、水分をほとんど吸わない紙で、その性質を利用した。墨染めのものは、高知県のコウゾを用いて機械ですいた紙を加工した。
同社の浅倉敏之さんと「ルート・デザインオフィス」(千木町)のデザイナー原嶋亮輔さんが協力して、約11カ月をかけて完成させた。和紙の質感を保ちながら、耐水性を持たせることが最大の課題で、工業製品と違って一枚ごとに厚さが微妙に異なる「難物」を相手に、幾度も試行錯誤を繰り返したという。
原嶋さんは「この優しさは陶器やガラスにはない。特に白色のものは窓辺に置いておくと、太陽の光が柔らかく透ける」と出来栄えに胸を張る。浅倉さんは「ゆくゆくは、クシャクシャと丸めてかばんやズボンのポケットに入れておき、例えば散歩中に良い花を見つけたら、その場で出して生けられるようなものを作りたい」と、構想を語る。
サイズは高さ21センチの「ラージ」、同14センチの「ミドル」、同7センチの「スモール」の3種類。価格は6,195円~7,980円。IFFTで発表後、同社に隣接するショールーム「紙 あさくら」などで販売する。