金沢を中心に似顔絵アーティストとして活躍する西澤小百合さんが5月、似顔絵を描き続けて日本を一周する旅に出る。
西澤さんは保育士として働く傍ら、県内外で開催されるイベントや、学校・病院・福祉施設などで似顔絵を描く活動に取り組んでいる。
活動を始めて約4年。これまでに描いた似顔絵は3000枚を超える。向かい合って座る相手と会話をしながら筆を走らせ、5分ほどで「笑顔」を描き上げる。温かなタッチに「元気をもらえる」「うれしい気持ちになる」と、似顔絵の本人も笑顔になる。
もともと絵を描くことが苦手で嫌いだったという西澤さんだが、あるとき旅先で出会った人に感謝の気持ちを込めて「へたな似顔絵」を描いて渡したところ、とても喜んでもらえたことがきっかけで、もっと描きたいという気持ちが湧いてきた。「絵が苦手だったのは、周りの評価を気にして萎縮していたから」と気付き、絵を通して自分を表現することが楽しくなった。
一人でも多くの人、多くの笑顔に出会いたいという思いが西澤さんの原動力になっている。ある病院では、話すことも無理だといわれていた寝たきりの高齢者が、似顔絵を手にして「ありがとう」とつぶやいた。児童福祉施設では、心を閉ざしていた子どもが描いてもらった感謝の気持ちを手紙につづった。
日本一周の旅は、イベントのように来る人を待つのではなく、自分が動いて描きたいと決意した。旅程は最小限のことしか決めていない。現地での出会いやフェイスブックの情報を頼りにキャンピングカーを走らせるつもりだ。目標は1万人の笑顔を描くこと。似顔絵が日本各地の人と人とをつなげるきっかけになればとも願う。
「実家を出たこともない私が、仕事を辞め、似顔絵を描き続けて日本を一周する。私の経験を通して、一歩踏み出せずにいる人を勇気付けることができれば」
西澤さんは5月13日に富山県に向けて出発する。それまで県内の各種イベントに参加する予定で、金沢市内では4月21日に桜田町(カジマート桜田店・Seeds cafe・Duca・HANAYA かれん周辺)で開催される東日本大震災チャリティーイベント「さくらだ With you 2012」に参加する。