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「北陸文庫大賞」に「告白」-石川・富山・福井の書店店員が投票

店頭に並べられた北陸文庫大賞の入賞作品

店頭に並べられた北陸文庫大賞の入賞作品

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 石川・富山・福井の書店の店長と従業員が「お薦め」の1冊に投票する「北陸文庫大賞」が北陸3県で初めて開催され、大賞には湊かなえさんの「告白」(双葉社)が選ばれた。各店の店頭には現在、10位以内に入賞した文庫が従業員らの推薦文と共に並べられており、来店客が足を止めて見入っている。

未来屋書店金沢フォーラス店の従業員が書いた「夜は短し歩けよ乙女」のPOP広告

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 主催は日本出版販売北陸支店。ネット通販や新古書店、電子書籍などが注目される半面、新刊を販売する書店の数が減少していることから、「本のプロ」である店長や店員の豊富な商品知識を生かして読者を獲得しようと企画した。

 投票には、同社が取引する北陸3県の店舗のうち、希望した51店の店長と従業員163人が参加した。ランキング部門と発掘部門があり、ランキング部門ではノミネートされた「2010年度北陸エリア売り上げランキング」100位以内の文庫の中から、「お客さまに薦めたい本」の1~3位に票を投じた。発掘部門ではノミネート作品以外の好きな本を挙げ、事務局が推薦理由などを参考に、4冊をピックアップした。

 ランキング部門で大賞を受賞した「告白」は2位を大きく引き離し、146点を獲得。文苑堂TSUTAYA金沢有松店(金沢市有松3)の従業員からは「大切な人を失ってしまうとここまでできるものなのか…。ラストの救いのない終わり方も衝撃的!! 忘れっぽい私でも多分一生覚えていると思う」との推薦文が寄せられた。この推薦文は全店に掲示されるPOP広告に採用された。

 2位には「阪急電車」(有川浩著、幻冬舎)、3位には「八日目の蝉」(角田光代著、中央公論社)が入った。発掘部門では、「東京バンドワゴン」(小路幸也著、集英社)、「生きることば」(瀬戸内寂聴著、光文社)、「恋文の技術」(森見登美彦著、ポプラ社)、「煙か土か食い物」(舞城王太郎著、講談社)が入賞した。

 未来屋書店金沢フォーラス店(堀川新町)では、従業員18人全員が投票。同店でも、女子従業員が書いた7位の「夜は短し歩けよ乙女」(森見登美彦著、角川GP)の推薦文がPOP広告に選ばれた。宮脇書店イオン金沢店(福久2)の滝上耕太店長が推した「ゴールデンスランバー」(伊坂幸太郎著、新潮社)は10位にランキングされた。

 文苑堂TSUTAYA金沢有松店の泉栄謙吾店長は「本屋を始めてまだ1年未満なのに、スタッフの推薦コメントが大賞のPOP広告に選ばれ、うれしい」と声を弾ませ、未来屋書店金沢フォーラス店の土山由紀子店長は「当店は若いお客さまが中心なので、日頃は年配の方に人気の瀬戸内寂聴さんに注目することは難しい。『発掘部門』は瀬戸内さんを採り上げる良い機会になった」と同賞の開催を歓迎した。滝上店長は「お客さまが本を手にとるきっかけになってくれれば」と期待を込める。

 受賞作品の展示は9月30日まで。期間中、読者がお薦めの本に投票する「北陸読者大賞」も実施する。読者大賞の結果は来年1月ごろに発表予定。

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