機能性食品と炭素繊維の研究拠点となる「いしかわ次世代産業創造支援センター」が県工業試験場(金沢市鞍月2)に開設され、4月13日、同所で開所式が行われた。今後、企業や大学の研究者らとともに、米を発酵させて作るドリンクヨーグルトなど新しい機能性食品や、炭素繊維の加工技術の開発に取り組む。
同センターは科学技術振興機構の地域産学官共同研究拠点整備事業で建設された。鉄骨造り2階建てで、延べ床面積は約650平方メートル。建物内は2ブロックに分かれ、機能性食品の実験棟にはパック包装機やカップ型容器包装機、殺菌用冷却装置、レトルト装置、香りの分析・評価システムを備えた。いしりやかぶらずしなど県内の伝統的な発酵食品を応用した新しい機能性食品の開発や、甘酒に乳酸菌を加えて作るドリンクヨーグルトの試作、保存性向上に向けた試験などに取り組む。
炭素繊維の実験棟には織機、電気炉、プレス機を設置。金属に替わる素材として現在、航空機や釣り道具などに使われている炭素繊維を自動車のボディーにも利用できるよう、大量生産技術の確立を目指す。整備費として10億6,000万円をかけた。
開所式には、食品・繊維をはじめとする関連業界や金沢大学、金沢医科大学、石川県立大学、文部科学省、県の関係者ら約60人が出席。谷本正憲知事は「地域産学官共同研究拠点整備事業に応募した中で、機器だけでなく建物も整備してもらえたのは4県だけ。はっきりした答えを出していかなくてはいけないと責任の重さを感じている。関係業界の皆さんの奮起をお願いする」とあいさつで述べ、吉田繁同試験場長がセンターの概要を説明した。