東日本大震災と石川県の地震・津波防災を考える講演会が4月9日、金沢大学サテライト・プラザ(金沢市西町三番丁)で市民や学生、行政職員ら約100人を集めて開かれ、同大研究者は「能登でも最大11メートルの津波が発生する可能性がある」と注意を促した。
主催は、金沢大学の研究者や行政関係者、エンジニアらで作る「北陸自然災害懇話会」。この日は同大の5人が講演。理工研究域自然システム学系の平松良浩准教授(地震学)は東日本大震災の成因について「99%の確率で起きるといわれていた宮城県沖地震などの領域で複合的に発生した」と解説した。県内でも能登で最大11メートル、加賀で2~3メートルの津波が予想されているとも話し、大津波を想定して地域防災計画を見直すよう提言した。
昨年12月に宮城県南三陸町で津波対策のヒアリング調査をした人間社会研究域人間科学系の青木賢人准教授(氷河地形、環境変動論、地生態学)は、同町が公立病院や民間の結婚式場などを「津波避難ビル」に指定し、外階段を無施錠にして、いつでも町民が屋上に逃げられるように準備していたと説明。「『想定内』の被害については十分な対策を取っていたのに、あれだけの被害を受けてしまった。金沢、能登では『想定内』に備えることができていない」と、大津波が発生した場合は珠洲市役所が水に漬かると予測されている石川県の行政関係者や住民に意識変革を求めた。
震災後、2回にわたって被災地へ調査に出向いた理工研究域環境デザイン学系の宮島昌克教授(地震防災工学)は被害状況を報告し、県内でも、ハザードマップの作成や避難施設の指定・新設、電気系統機器の高所移転が必要だと説く。同系の村田晶助教(地震工学、防災工学)と人間社会研究域法学系の田中純一研究員(環境社会学)も、震災翌日に起きた長野県北部地震や2008年5月の四川大地震で被害を受けた中国・四川省の現状などについて話した。