2007年3月25日に石川県を襲った能登半島地震から丸4年。支援者の協力を得て復興を果たした輪島市の輪島塗作家や塗師屋ら漆関係者たちはグループ「輪島うるし探偵団」を結成し、この節目の日からしいのき迎賓館(金沢市広坂2)で「輪島の漆作家たちから ベビースプーンに愛を込めて」展を開催し、輪島塗の新しい可能性を発信している。
若い感性を生かした作品が来場者を楽しませている「進化する九谷」
会場には、漆塗りのベビースプーン約50点を展示。西洋では新生児の幸せを祈って、銀のベビースプーンを贈る風習があることから、日本の子どもたちの誕生祝いに贈るプレゼントにしてもらおうと考案した。
蒔絵(まきえ)のデザインは、同グループのメンバー20人が担当した。今年、孫が生まれたばかりの女性は「衣食住に困らないように」「勉強ができる子になって」などの願いを込め、持ち手にご飯茶わんと洋服、家、鉛筆を配置した愛らしい作品を出品。キューピッドの絵と「I LOVE YOU」の文字を記したものや、おひなさまとお内裏さまを描いたものも登場し、来場者は笑顔で見入っている。価格は1本2万6,250円~39万9,000円。4月10日まで。
同館では併せて、九谷焼技術研修所(能美市)の「デザイン支援事業」受講生28人による作品展「進化する九谷~若手陶芸家からの提案~」も開催している。
アニマル柄の洗面ボウルや幼児向けランチプレート、紙のかぶとをかぶり、かしわ餅を手に持った「おサルの五月人形」などユニークな作品が並ぶ会場では、来場者が「かわいい」「子どもが喜ぶね」などと話しながら鑑賞している。4月5日まで。
開催時間は、「ベビースプーンに愛を込めて」=10時~17時、「進化する九谷」=10時~18時。いずれも入場無料。