第64回ベネチア国際映画祭正式出品作「サッド ヴァケイション」の公開に合わせ、青山真治監督が11月10日、シネモンド(金沢市香林坊2 KOHRINBO109 4階、TEL 076-220-5007)で舞台あいさつを行った。
同作品は、青山監督が原作・脚本も手がけた。浅野忠信演じる主人公が幼いころに自分を捨てて家出した母(石田えりさん)と偶然再会を果たし、母への報復を胸に秘め、母とその夫が営む運送会社でわけありの従業員(宮崎あおいさん、オダギリジョーさんほか)とともに暮らす様子を描いている。劇場映画デビュー作「Helpless(ヘルプレス)」(1996年)、第53回カンヌ国際映画祭で国際批評家連盟賞とエキュメニック賞をダブル受賞した「EUREKA(ユリイカ)』(2000年)に続き北九州を舞台にした作品で、過去2作品の登場人物の「その後」の物語がスクリーンに映し出される。
青山監督は「北九州シリーズ第3弾ということで、これで打ち止めにするつもりは濃厚だが、もしかしたら続きを作ることになるかもしれない。内容的には『ユリイカ』の続きになっているが、方法的には『ユリイカ』では絶対にしなかったことをした。宮崎あおいが登場する最初のシーンには、男女の枠を超えた人間存在のりりしさが表れていると思う。石田えり演じる千代子も、みっともなさをさらけ出しているような部分があるが、最後の最後にそのりりしさにたどりついている。映画を作り終わってからその場面を見て、自分がこの作品で人間がりりしくなる瞬間を求めていたのだということを感じた」と話し、3作ともに出演するコンビの漫才のようなかけ合い場面の撮影秘話なども明かした。
同監督は2003年、金沢の商店街とシネモンドが共同企画した映画製作ワークショップをきっかけに同市出身の文豪・徳田秋聲の短編小説を題材にした映画『秋聲旅日記』をオール金沢ロケで制作した。
「サッド ヴァケイション」は11月23日までシネモンドで上映される。