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人工衛星利用した地上絵第1号「小宇宙」が完成-金沢美大准教授ら

内灘町の牧場に六角形の反射板を置き、撮影タイミングを待つ学生ら(10月14日)©Hiroshi SUZUKI

内灘町の牧場に六角形の反射板を置き、撮影タイミングを待つ学生ら(10月14日)©Hiroshi SUZUKI

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 人工衛星を利用した地上絵の制作を目指してきた金沢美術工芸大学美術科准教授の鈴木浩之さん(油画専攻)が12月14日、作品第1号を完成させた。タイトルは「小宇宙:2010年10月14日金沢近郊牧草地」。

作品第1号を見る鈴木准教授

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 同作品は、2006年に宇宙航空研究開発機構(JAXA)などが打ち上げた地球観測衛星「だいち」を使って完成させた。「芸術目的で、メディアとして衛星を使うのは初めてでは」と鈴木さん。

 10月14日夜、同大の学生、大学院生、卒業生約30人とともに、内灘町の河北潟干拓地にある牧場にアルミシートなどで作った3種類の反射板と乗用車を置き、山口県の上空691キロメートルを飛行する「だいち」が放った電磁波を反射させた。その反射した電磁波をとらえた衛星写真と、反射板を用意していない11月29日夜撮影の衛星写真を重ね、コンピューター・ソフトで違いのあった部分だけを表示させ白黒加工した。

 両日とも写り込んでいる既存の家屋や牧草地などは消え、反射板と通行する車、日本海に浮かぶ漁船など、どちらかの日にだけ内灘町と周辺にあったものが白い点として写っており、星空のように見える。

 11月29日にはまた、同大グラウンドに高さ180センチの反射板5台を置いて衛星写真に撮影させており、こちらは第2号作品となる予定。

 鈴木さんは「タイトルには、『宇宙から人間の行為を眺めると小さな宇宙のように見える』という意味を込めた。来年度はこの方法でオリオン座など、実在の星座を描きたい」と意欲をみせる。

 一方、11月25日に金沢市の明成、西、中央の小学校3校で行った地上絵制作のための実験は、パチンコ玉や手鏡、ストーブの煙突を並べて作った反射板の光が衛星写真では判別できず、失敗に終わった。実験では太陽光の反射を利用。児童も料理用ボウルを頭にかぶったり、アルミシートで作ったエプロンを着けたりしてグラウンドに立ったが、こちらも写真上に強い反応として現れなかった。充分な太陽光を得ることができなかったためとみられ、鈴木さんは来年、大きな白い布を使って再挑戦する考えだという。

 「小宇宙:2010年10月14日金沢近郊牧草地」は来年、展覧会を開き公開する予定。

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