石川県立伝統産業工芸館(金沢市兼六町、TEL 076-262-2020)で現在、企画展「水引新世界」が開催されている。
石川県立伝統産業工芸館で開催されている企画展「水引新世界」の会場風景
置物や装飾品として古くから継承されている伝統工芸の水引細工を、現代のライフスタイルの中でも日常的に使うことができるアイテムとして紹介し、新たな可能性を提示する同展。展示されているのは、水引作家として活躍する金沢出身の広瀬由利子さんの作品約40点。来館者がイメージしやすいよう、会場に「部屋」を再現、そこに作品をレイアウトした。
会場には、引き戸・障子・タペストリー・ウオールハンギング・額などインテリア、テーブル・サイドテーブルなど家具、フロアライト・LED使用のデスクランプなど照明アイテムなどが並び、テーブルトップや額には昨年5月に広瀬さんが取得した特許「刺し水引」の技法が使われている。「刺し水引」は、水引の弾性を生かし、二つ折りにした水引をネット編み目に挿し込み、ネット一面に模様を形成したもの。
OLとして働いていた広瀬さんが水引を始めたきっかけは、11年前にニュージーランドで日本文化を教える機会に恵まれ、現地で好評を得たことから。以来、本格的に制作活動を始め、各地の展覧会に出展するなど活動を続けている。広瀬さんは「新しい水引の世界を模索しながら作品作りに携わり、ようやく一つのかたちができた。ハレ(晴れ)の場だけでなく、ケ(褻=日常)にも楽しめる水引の世界を楽しんでもらえれば」と話す。
会期中の17日には、広瀬さんが講師となり「水引玉」を作るワークショップ「Let’s try水引!」も行われる。(14時~15時30分、材料費500円、予約不要)。
同館副館長の柳井篤子さんは「伝統工芸としての水引を、日常生活に巧みに溶け込ませるアイデアが詰まった広瀬さんの作品をぜひ見てほしい」と来館を呼びかける。
開館時間は9時~17時。第3木曜休館。11月9日まで。