石川県立音楽堂(金沢市昭和町)を管理・運営する石川県音楽文化振興事業団は4月にオーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)の定期公演の際、同音楽堂コンサートホール3階に入場料500円の「スターライト席」を設けることを発表した。
OEKは年20回、1,560席の同ホールで定期公演を行うが、入場者数の平均は800~900人にとどまっている。このため同事業団では、これまでOEKの演奏を聴いたことのない人たちに気軽に足を運んでもらいファンを増やそうと、初めて低料金の座席を用意することにした。9月の定期公演から適用する。
「スターライト席」にするのは、3階の左右にあるバルコニーの134席。これまでは、3階後方と同じB席として、2,500円~3,000円でチケット販売していた。しかし、舞台の一部が見えないことや、通路が狭いため、約13メートル下の1階席が視界に入り、「4階の窓から下をのぞいた場合に相当する」(同事業団)高さに恐怖感を覚える人が多いことから、常連客らに敬遠されがちだった。
実際、席に座った高齢者や高所が苦手な観客から「席を替えてほしい」と求められることもある。子ども対象のキッズコンサートの際には、危険防止のため閉鎖している。ただ音響は抜群で、「生の音ではなく、コンサートホール特有の響きを楽しめる」(同事業団)とも。
同事業団の事業部チーフマネジャー床坊剛さんは「若い人、仕事帰りの人に利用してもらい、クラシックコンサートの楽しさを知るきっかけにしてほしい」と期待を込める。