スナック菓子が芸術作品に-金沢のアートスペースが活動再開

スナック菓子「うまい棒」からつくられた「うまい仏」

スナック菓子「うまい棒」からつくられた「うまい仏」

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 金沢のアートスペース「pARa:siTe(パラ:サイト)」(金沢市松寺町、TEL 076-238-0788)は4月1日、1年3カ月ぶりに活動を再開した。再開第1弾企画としてスナック菓子を素材としたアート作品が登場し、身近な食品が見せるさまざまな表情が会場を彩っている。

スナック菓子にダイヤモンドをちりばめた作品

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 同スペースは観葉植物のリースを手がける「四緑園」(同、TEL 076-238-0771)が運営。同社社長でキュレーターを務める中西研大郎さんによると、同社が運営する「G-WING’Sギャラリー」(同)と並列(=パラレル)に存在するもう一つの場所(=サイト)として位置付けている。当初、同ギャラリーの倉庫として使われていた約5畳分の部屋を活用していたが、敷地内にある白い壁とガラスに囲まれた空間を新たな現代アート発表の場として選んだ。

 中西さんが同スペースの再開を飾る企画として選んだのが、現代美術作家・河地貢士(かわち・こうし)さんによる個展「うまい仏-THE SNACK AGE」。棒状のスナック菓子「うまい棒」を彫刻した仏像107体を塔のように並べた「うまい仏」のほか、1袋の中で最大のポテトチップスを魚拓のように墨ですり写した「Top of the world-ポテ拓」、リング状のスナック菓子に2ミリ径のダイヤモンド8個をちりばめた「スナック・ダイヤリングーFor the Love of Now」、蛍光紙の裏面にディスプレーしたスナック菓子からにじみ出る油分による色の変化を楽しむ作品など、普段は口に入るはずのスナック菓子がアートに姿を変えて陳列されている。

 河地さんは祖父の死や江戸時代の僧・円空が彫った「円空仏」などに影響を受け、3年近く前に「うまい仏」を制作。10数種類の味付けの「うまい棒」を素材として使用しているが、「表面にまぶしてある味付け用パウダーによって彫り心地が異なり、味や香りの違いも仏像の表情に表れていると思う。仏像が煩悩の数に1つ足りず未完なのは、最後の1本を食べてしまったから」(河地さん)。スナック菓子を素材にするのは、木や金属、粘土よりきどらない「ため口」の表現ができるのではないかと考えたため。今回の個展のサブタイトルは「スナック菓子時代」を意味し、「軽薄で、もろくて、不健康。まさにこの世はスナック菓子そのもの」と感じたことから名付けたという。

 中西さんは「新しいアートスペースは白い空間で、いまさらホワイトキューブと思われるかもしれないが、いまさらだからこそホワイトキューブでやる」と再開に意欲をみせる。「いろいろな制約を取り払い、自分やスタッフが飛び抜けて面白いと思うことを発信し、アートに興味がない子どもやお年寄りにも見てもらえるようにしたい。河地さんの作品は木っ端も仏像にした円空を思い起こさせ、円空がこの作品を見たら『面白い』とか『やられた』という感想を持つのではないかと思わせる深さもあり、キャッチーなだけではなく、かみしめる価値がある」。

 開館時間は10時~17 時。今月16日まで。会期中無休。3日18時からのオープニングレセプションで「うまい仏」の公開制作を行う。

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