小松精練(能美市浜町)は3月、九谷焼の色絵を再現した意匠の洋傘を商品化した。独特の深みのある色合いでカワセミを描き、贈答用の高級品として東京都内の百貨店などで限定販売する。
同商品は同社がスタートさせた「匠プロジェクト」の第1弾。同プロジェクトは、伝統工芸と最先端の素材・技術を組み合わせることにより、新しい市場の開拓を目指している。能美市は九谷焼の産地であることから、地域貢献の思いも込めた。
絵柄として用いたのは、地元在住の色絵磁器作家武腰潤さんが皿に描いたカワセミ。羽を広げて飛び立とうとする姿や、止まり木に止まってうつむいている姿、山ブドウの木で休む姿など、さまざまなポーズがある。同社は高性能デジタルプリントマシンを使って、傘地の上にこの九谷焼のカワセミを再現した。
九谷焼の色絵は、上に透明の釉薬(ゆうやく)が塗られているため、立体感があり、色合いにも深みがある。これらをプリントで表現するのは難しく、企画スタートから完成まで1年がかかったという。
傘の骨には、能美市の東レ石川工場のカーボンシャフトを使い、布地のサテンは同工場の原糸を中能登町の丸井織物が織り上げた。
デザインは3種類で各3色を用意。ベージュ、黒、エンジ、ピンク、ブルー、ゴールドなどがある。価格は1本2万5,000円で、300本を限定発売する。4月から東京都内の百貨店に並べるほか、インターネットなどでの販売も検討している。
小松精練では今後、漆器や牛首紬(うしくびつむぎ)、加賀友禅を意匠として生かした洋傘の開発も予定する。
同社広報課長の北本亜紀さんは「試行錯誤した末、思い通りの色の表現ができた。特に外国人からの評判が良く、海外へのお土産にしたいという要望も聞いている。九谷焼を発信するお手伝いになればうれしい」と話す。