金沢21世紀美術館(金沢市広坂、TEL 076-220-2800)で、今年4月から行われている長期プロジェクト型展覧会「ニットカフェ・イン・マイルーム」で、ニットデザイナー・広瀬光治さんと現代美術家・西山美なコさんが、一般の参加者とともに編み物をテーマに共同制作している作品群が、9月12日から一般公開されている。
同プロジェクトは、同館が展開する「金沢若者チャレンジアートプログラム」の一環で、卓越したニットの技術で独自の世界を表現する広瀬光治さんと、個人や共同体にとってのあこがれや理想の世界を独自の「造形言語」で追求してきた西山美なコさんのコラボレーションにより、編み物をテーマにした空間を創り上げていくもの。
長期にわたる同展をプラットフォームとして、一般参加型の編み物プロジェクトやワークショップを展開。トータル1年間という長期のプロジェクトを通して「編む」という行為や創造の意義、可能性を探る。
5月から始まった公開制作では、1日30~40人の編み物愛好者が広瀬さんの指導の下、花畑をモチーフとした展示空間に色鮮やかなニットの花を咲かせた。会場の中心には、西山さんが菓子をイメージしてデザインし、広瀬さんが白を基調に多様な編み方を用いたニットで飾り付けた高さ約4メートルのパビリオンが設置され、訪れた人の目を引いている。
期間中、さまざまなワークショップや講演会、イベントの開催が予定されている。参加型「エブリデイ・ニット・プロジェクト」(閉場日以外の毎日開催)では、誰でも編物体験を通して展示作品の制作に携わることができる。「サタデー・ニット・ワークショップ」では、日本編物文化協会講師指導の下、テーマ別に編物に取り組み、「かぎ針編みのマフラーを編もう」「ガーター編みで2WAYニットを編もう」「2目ゴム編みで簡単手袋を編もう」などを予定する(各回の定員は先着20人)。
毎月1回、週末に行われる講演会やイベントには、「西山さんと同館学芸員の村田大輔さんの対談」(10月17日)、「広瀬さんによる展示作品の解説~各パーツのテクニック紹介」(11月14日)、「広瀬さん講演会~歌とニット~トーク&ミニコンサート」(12月19日)などが続く。
広瀬さんは「参加者や鑑賞者に楽しんでもらえる空間になると思う。ニットを通して、一般の人と触れ合えた経験が自分の財産となった」とし、金沢の印象については「このイベントをきっかけに初めて金沢を訪れた。しっとりした街並みと豊かな文化の影響を今後の創作活動に生かしたい」と話す。
開場時間は10時~18時(金曜・土曜は20時まで)。閉場日は、毎週月曜、年末年始ほか。観覧料は、一般=350円、大学生と65歳以上=280円、高校生以下無料。来年3月22日まで。