約1300年の歴史を誇る石川県の山代温泉に8月2日、「新総湯」(加賀市山代温泉万松園通)がオープンした。
同地区は、総湯を囲むように旅館や商店が立ち並ぶ「湯の曲輪(がわ)」という街並み形成が全国で唯一残されている温泉街で、明治から昭和初期にかけて多くの湯治客や周辺住民でにぎわいを見せた。北大路魯山人や与謝野鉄幹・晶子をはじめ、多くの文人墨客が訪れ、独自の文化を育んできた。
同市では2006年から「湯の曲輪」の再生計画を進め、同湯には老舗旧吉野屋旅館の趣を残し、杉板を張った和風情緒あふれる外観を採用した。中庭や薬王院の緑が楽しめる浴室はバリアフリーの仕様で、壁一面には九谷陶磁器協同組合の作家が制作した九谷焼タイルを配するなど地域資源を活用し、入浴客の目を和ませている。「人にやさしい浴場施設」をコンセプトに、浴槽には同市内産の石材を張り、湯は加水せず毎日換水清掃することで新鮮な温泉を衛生的に提供する。温泉効能は神経痛、婦人病など。総工費は5億8,844万円。
2010年秋には旧総湯の跡地に明治時代の総湯を復元した「古総湯」もオープンを予定する。入浴しながら当時の雰囲気を味わい、温泉の歴史や文化が楽しめる「体験型博物館」の趣旨を併せ持った施設として整備する。
同湯のオープンに併せ、向い側に建つ交流スペース「はづちを楽堂」では新たな名物を狙い、地元の温泉卵と牧場の牛乳を使った「温玉プリン」を土曜・日曜合わせて30個を限定販売。クリーミーで濃厚な味わいが人気だという。
営業時間は6時~22時。休業日は毎月第4水曜日6時~12時。入場料は、12歳以上=420円、6歳~11歳=130円、3歳~5歳=50円、3歳未満は無料。