フランス人浮世絵師と言われているアンリ・リヴィエールの世界初の回顧展が現在、石川県立美術館(金沢市出羽町、TEL 076-231-7580)で開催されている。
リヴィエールは19世紀末、ジャポニズムに深く影響を受けたフランス人の画家。当時、ゴッホやモネなど、日本の美術に傾倒した画家は数多くいたが、浮世絵風の木版画を制作するために絵師・彫師・摺師の作業を一人で行ったのはリヴィエールだけだった。北斎や広重の浮世絵に心酔したリヴィエールは、フランスの自然を描き続け「波、雲、雪、雨」などをとらえた作風は、東洋人にとっても懐かしく親しみやすい。
同展は、リヴィエールが生前収集していた浮世絵やアトリエで保存されていた作品を、フランス国立図書館やオルセー美術館などの所蔵品から集めた世界初の回顧展で、エッチング・木版画・リトグラフ・水彩画・ヴィンテージ写真など約170点が出品されている。そのほとんどが日本初公開で、リヴィエールが日本美術に与えた影響についても紹介する。
リヴィエールは来日経験こそないが、生涯を通じて日本文化への情熱を持ち続けた。モンマルトルのボヘミアン画家としてカフェ「シャ・ノワール」のホール装飾を担当。ユーモアと風刺を表現し、詩情あふれる影絵劇を創作した。独学でエッチング・リトグラフ・木版画にも挑戦し、代表作品の「岩を打つ波」は北斎の作品を素直に引用した。さわやかな色彩のトーン、中心をずらした構図、重層的になっている遠近法が作品の特徴。
開館時間は9時30分~18時。入場料は、一般=1,100円、高・大学生=700円、小中学生=500円。8月23日まで。