金沢の人気観光エリアとして知られる長町武家屋敷跡からほど近い住宅街に、町家を改修したギャラリー兼工房「長町集真藍(あぢさい)工房」がオープンした。
建物は1902(明治35)年に石川県白山市(旧松任市)で建てられ、大正期に現在地に移築されたもの。持ち主の吉村彰雄さんの母親が昭和40年代に下宿屋を営んでいたが、ここ25年は空き家になっていた。
改修を決めたきっかけは、金沢の古いまち並みを賞賛する友人の言葉だった。「見せかけだけではない本当の町家を残し、来てくれた方の心に残るものにしたい」(吉村さん)と、改修後に一般公開することを条件にした金沢市の「金澤町家再生活用モデル事業」に応募。同事業の認定を受け、市の援助を得て耐震工事やバリアフリー化工事を行った。
修復を担当したのは市内の設計士らでつくるLLP金澤町家。箱階段や太い柱、いろりなど町家らしい部分はそのまま残し、伝統工法や伝統素材を生かした修復を行った。建物正面に設置されている「飾り腰瓦」のように、壊れてしまえば今では修復不可能だという高い技術もあちこちに残る。
工房は5月23日、アマチュア写真家で学生時代に同家に下宿していた鵜飼信彦さんの写真展の開催に合わせオープンした。工房スペースでは吉村さんが藍染などの体験教室を開催し、地域住民や観光客から好評を得ている。
藍染体験の料金はハンカチ体験=300円、Tシャツ体験=1,500円。所要時間は約10分。営業時間は10時~18時。水曜定休。8月23日と9月27日には、藍の生葉を使ったワンポイント染めや、折り紙による小箱づくりなどのイベントを予定している。