金沢市、「茶室」を一般開放-市民対象に茶会以外の利用も促進

一般開放された茶室「旧園邸・松向庵」は、金沢市の指定文化財にもなっている。

一般開放された茶室「旧園邸・松向庵」は、金沢市の指定文化財にもなっている。

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 金沢市では市内の茶室を市民に開放し、茶会以外での利用も積極的に勧めている。市と県が管理する17の茶室をまとめた冊子「茶室でのひととき」を今年3月に発行。城下町の文化遺産でもある茶室の利用が進んでいる。

「茶室でのひととき」で紹介されている「旧園邸・松向庵」

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 同冊子は手に取りやすいサイズで広げるとA2判となり、茶室マップも掲載する。市管理11と県管理6の茶室を紹介。茶室の名前・所在地・利用時間・休館日・料金・駐車場の有無・茶席等の広さ・特徴・利用時の申し込み先などを分かりやすく一覧で記載。市が管理する茶室に関しては解説文と見取り図も掲載する。3,000部を作成し、大学や高校の茶道クラブや茶道具店、公民館、カルチャースクールなどに配布した。

 紹介されている茶室は「梅庵(ばいあん)」「旧中村邸」「耕雲庵(こううんあん)」「松涛庵(しょうとうあん)」「山宇亭(さんうてい)」「匠心庵(しょうしんあん)」「閑清庵(かんせいあん)」「松声庵(しょうせいあん)」「旧園邸・松向庵(しょうこうあん)」「旧高峰家・旧検事正官舎」「流芳苑(りゅうほうえん)」「時雨亭(しぐれてい)」「対青軒(たいせいけん)」「犀庵(さいあん)」「石川県立美術館広坂別館」「洗心庵(せいしんあん)」「拾翠園(しゅうすいえん)」。

 金沢21世紀美術館の敷地内にある「松涛庵」(金沢市広坂1)は、加賀藩13代藩主・前田斉泰の隠居所居間として造られた茶室で、2001年に金沢市が取得し同館に移築した。8畳と6畳の本勝手と立礼席を備え、すでに句会や花展の展覧会など茶会以外での利用もあるという。料金は午前=3,400円、午後=6,600円、夜間=7,600円、全日=16,400円。利用時間は9時~22時。

 同市の指定文化財にもなっている「旧園邸・松向庵(しょうこうあん)」(西町3)は、大正時代に表千家家元の指導により作られた茶室で、1992年に市に寄贈された。10畳の広間・水屋・待合などが坪庭を中心に巧みに構成される同期の近代和風住宅の一つとされ、1994年に金沢市の指定文化財に認定された。花展のみの利用が可能で、料金は午前・午後=各5,300円、全日=10,600円。利用時間は9時~16時。

 同市では、古い歴史を持ちながら利用率が伸び悩む茶室の利用促進に向けて2007年から取り組みを始めた。同市・文化政策課の吉田さんは「これまでは茶室ごとのパンフレットしかなく、見づらいという声があった。一覧にした冊子を使って、茶会以外のシーンでも茶室を利用してほしい」と話す。

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