金沢21世紀美術館(金沢市広坂、TEL 076-220-2814)で現在、開館5周年の記念展「愛についての100の物語」が開催されている。会期中、ライブやパフォーマンスなど100以上の催しが実施され、国内外のアーティスト43人が自由な形で愛を表現する。
同展のキーワードは「オープン・ダイアローグ(開かれた対話)」。谷川俊太郎の詩「あい」を基調に、美術家のほか詩・音楽・小説・マンガ・演劇・ダンス・学者・社会活動家までさまざまなジャンルとスタイルで活動する表現者を招き、「愛」をテーマに語り合う。全展示室に加え、デザインギャラリー・レクチャーホール・ライブラリー・授乳室・フリーゾーンの通路・光庭を使い、全館をフルに使い、さまざまな対話を生み出す仕掛けを創出。来場者はさまざまな形の「愛」を体感できる。
人間の心拍を感知して電球が点滅することで生命のはかなさを伝えるなど体験型の作品や、市民が作品世界の重要な担い手となる多角的で総合的なミュージアム・エデュケーションを実践する。オープニングイベントでは、鈴木ヒラクさんがライブペインティングを行い、植野隆司さんが水の入ったコップやギターを使って奏でる音に導かれるように、鈴木さんが作品を仕上げていく様子を来場者は息を呑んで見守った。
パトリック・トゥットフオコさんによる三輪車の形をした彫刻作品「バイサークル」は、市民によるドライブリーダーたちが作品と一体になり、一般来場者と作品を結ぶ。奥田扇久さんの「栽培からはじめる音楽」では、市民が「HOP(ひょうたんオーケストラ)KANAZAWA21」を結成、美術館の光庭で育て収穫したひょうたんで楽器を作り街中でコンサートを展開する(8月8日、「ひょうたんの日」イベントとして)。劇団チェルフィッチュは塩田千春さんの作品とのコラボレーションによる新作を書き下ろし、展示室で公演を行う(7月14日~26日)。音楽家の一柳慧さんは「オープン・ダイアローグ」の概念そのものを作品化。円形の展示室空間を参加体験型の音響装置に変換するアートワークを展開する(6月12日、ピアニスト山下洋輔さんとセッション)。
開場時間は10~18時(金曜・土曜は20時まで)。月曜閉場(7月20日は開場)。観覧料は「ゾーン1・2共通」が一般=1,700円、大学生=1,400円、小中高生=700円、65歳以上=1,400円。「各ゾーン」は一般=1,000円、大学生=800円、小中高生=400円、65歳以上=800円。「ゾーン1」は8月30日まで。「ゾーン2」は7月20日まで。