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金沢能楽美術館で流麗な書体の「光悦謡本」展示-北陸初公開の品も
(2009年05月13日)
江戸時代初期の謡本「光悦謡本(こうえつうたいぼん)」が現在、金沢能楽美術館(金沢市広坂1、TEL 076-220-2790)で展示されている。豪華な蒔絵書箪笥(まきえしょだんす)に収められた稀少な百冊揃本は北陸初公開、流麗な光悦流書体と華麗な文様が施された表紙など、当時の洗練された美意識に触れることができる。
「光悦謡本」は、寛永の三筆の一人とされ「光悦流書体」を大成した桃山・江戸時代の能書家・本阿弥光悦(1558~1637)が制作に関わったと考えられ、古活字を用いた本文と雲母刷(きらずり)装飾が施された豪華な表紙や料紙が特徴。光悦は蒔絵や陶芸にも優れる多才な文化人として、京都に居住しながら加賀藩前田家の御用を務めたことでも知られている。光悦に制作を依頼するため、前田家の重臣・今枝内記重直が何度も送った書状も公開。北陸初公開の「光悦謡本 橘紋散蒔絵箪笥入」は、白・青・淡紅・黄・緑の色替り紙を用いた本文料紙と斬新でリズミカルなデザインの表紙で制作された百冊揃いの謡本と、それらを収める蒔絵が施された豪華な書箪笥を合わせて展示し、当時の有力者たちを魅了した美の重奏に来館者が足を止め熱心に見入る姿が見られる。
戦乱から落ち着きを取り戻した江戸時代初期、人々の関心は文化芸術に向けられ階層を越え交流するようになった。能を愛好することは茶の湯とともに教養人のたしなみとされ、特別に誂えられた豪華な装丁を持つ謡本は人気が高かったという。豊臣秀吉が朝鮮出兵の際に持ち帰った木版の活字を組んで印刷する技術「古活字版」は、限られた上層の人々のための少部数印刷の場合、製版印刷法より簡便で経済的だったため、たちまちに広がり一大ブームを引き起こした。当時、美の規範とされたのは平安王朝文化で、華麗な雲母刷りで装飾された表紙や料紙の「唐紙(からかみ)」を復興させた。「当時の一級文化人たちの高い美意識により彩られた能の世界をぜひ見てほしい」と同館学芸員の山内麻衣子さん。
開館時間は10~18時。月曜休館。入館料は、一般・大学生=300円、65歳以上=200円、高校生以下=無料。5月31日まで。
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