明治から昭和の「ひな飾り展」-金沢くらしの博物館が開館30周年で

ひな飾り展の様子

ひな飾り展の様子

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 金沢くらしの博物館(金沢市飛梅町3、TEL 076-222-5740)で現在、明治~昭和の「ひな飾り展」が開催され、華やかな御殿飾りや屏風飾りなどが展示されている。

大正時代の御殿飾り

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 桃の節句を祝い、同館の開館30周年を記念した同展では、1887年の内裏びなや1921年の屏風飾りなど、内裏びな4点、御殿飾り5点、びょうぶ飾り7点、変わりびな1点、水引びな1点の個人所蔵品も含めた計18点が並び、スペースは例年の3倍に拡大した。

 同館の北村渉さんは、ひな飾りの楽しみ方について、「内裏様とおひな様の位置に注目してほしい」と解説。古くから「左上位」とあるように左に男びなを配置する風習があったが、昭和初期からは右に男びな、左に女びなを置くようになった。理由は諸説あるが、昭和天皇の即位式での天皇の立ち位置が、男性が女性を守るために利き手を空けておくという西洋風のスタイルに倣ったことから変化したという。今では、京びなは昔ながらの配置を受け継いでいるが、地方により異なる。

 また、「三人官女のまゆを見てほしい」(北村さん)と、ひな飾りをじっくりと観察する面白さを提案する。まゆのない女性は既婚者の印で、3人の中で1人は既婚者が入っているという。初めて御殿飾りの全セットを飾った同展では、「人形だけでなく、御殿そのものの立派な作りも楽しんでほしい。金沢は文化を大切しながら戦災などにあっていないことから、古き良きものが保存されている」とも。

 ひな菓子の「金花糖」は、室町時代に長崎に伝わった有平糖(あるへいとう)に由来し江戸でも作られていた砂糖菓子で、タイやタケノコなどをかたどっている。今では、金沢にのみ残り貴重な季節菓子となっている。

 同館は、1899(明治32)年に石川県立金沢第2中学校(現金沢市立紫錦台中学校)校舎として建てられたもので、1970年までは学校として使用されていた。1974年に金沢市の文化財に指定され、1978年に金沢市立民族文化財展示館として開館した。明治の洋風木造学校建築の様式を色濃く残す貴重な文化遺産として市民に親しまれている。

 開館時間は、9時30分~17時。入場無料。4月5日まで。最終日の5日には、0歳児~小学生を対象にしたこども講座「おひな様と着物で記念撮影」を開催する。参加無料。

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