能登復興会議「のとボイス」第4回が4月19日、金沢21世紀美術館(金沢市広坂1)シアター21で行われた。
主催は、能登復興建築人会議、認定NPO法人「趣都金澤」、みやぎボイス連絡協議会から成る「のとボイス連絡協議会」。当日は「能登復興を実装する」をテーマに、まちづくりや復興の関係者などが登壇して活動報告や課題共有を行った。会場には約120人、オンラインには約30人が参加した。
能登復興建築人会議の池田暉直さんは、建築士を中心とした調査員が能登全域で1万件を超える被災家屋を調査し、その約1割が残す価値が高いと評価されたと報告。埼玉大学教授の菊池雅彦さんは「被災者には居住地や住宅再建の選択肢を示すことが必要。調査結果は支援策を立てたり、建物を利活用する団体とつなげたりするのに活用してほしい」と話す。
国の重要伝統的建造物群保存地区に指定される輪島市黒島地区で活動する建築家の吉村寿博さんは、コミュニティー内で復興の仕方を議論し、手作りの「黒島未来新聞」を通じて活動を共有しながら「復興まちづくりビジョン」を策定した事例を紹介。七浦地区の斯波安夫さんは、地域のにぎわいを取り戻そうと地元有志で被災家屋を修繕し、「皆の宿」と名付けて宿泊施設にしたプロセスを紹介した。
塗師(ぬし)の赤木明登さんは、経営していたオーベルジュが全壊したため、鹿磯地区で漆器製作に使っていた古民家を修繕し、食堂「海辺の杣径(そまみち)」として移転。隣接する家屋2軒も買い取ってカフェに改装するなど、地域の景観を残しながら観光資源として生かしていくという。重要文化的景観に指定されている上大沢地区や大沢地区で活動する建築家グループは、今なお道路が寸断され、港が土砂で埋まるなどの爪痕が残るという。「8割の家が解体され多くの住民がいなくなった。ニガタケで作る間垣のある風景が評価されているが、住民がいないと作れない。住民に寄り添いながら、できることは何かを考えていく」と話す。
能登復興建築人会議副会長の浦淳さんは「集落単位だけでなく、各地域をつないでエリア全体の価値を対外的に見せる工夫が必要。事業や支援を得やすくなり、関係人口を増やせる」と訴えた。石川県の浅野大介副知事は「残すことができた家屋がある半面、解体による空き地も目立つ。これを失われたと考えるか、新たな余白と考えるか。豊かな発想で今後を考えてほしい」と話す。「奥能登芸術祭の広域開催を考えている。珠洲だけでなく地域をつなげて振興させたい」とも。
第2部では、森義隆監督による能登のドキュメンタリー映画「先に棲(す)む ~こちら高屋~」Season2を初上映。終了後には森監督のティーチインが行われた。