金沢市消防団が出初め式-伝統の「加賀とび・はしご登り」披露

金沢市消防団の出初め式で披露された「加賀とびはしご登り」

金沢市消防団の出初め式で披露された「加賀とびはしご登り」

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 金沢市消防団の出初め式が1月11日、金沢城公園(金沢市丸の内)で消防職員と49消防団員約1,300人が参加し行われた。金沢の新春を代表する伝統行事「加賀とび・はしご登り」「一斉裸放水」が披露され、雪の舞う中、勇姿を一目見ようと約4,000人の市民や観光客が詰めかけ大きな拍手を送った。

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「加賀とび」は、三代将軍・家光が設けた「大名火消」制度に先駆けて、加賀藩・江戸上屋敷の自衛消防隊として組織されたのが始まりといわれ、その豪華絢爛(けんらん)で勇猛果敢な姿は江戸庶民に広く知られた。中でも「はしご登り」の人気は高く、度々、浮世絵や歌舞伎、落語小説の題材にもなった。

 火事が発生すると、高いところからまわりの状況を見回し、消火活動を助けたのが始まりと言われるこの「はしご登り」は、「加賀とび」が日本で初めて行った元祖といわれ、市の無形民俗文化財にも指定されている。

 金沢の消防の歴史は古く、この江戸の火消しから、さらに60年前にさかのぼり設置され、災害と戦ってきた。現在でも市内で1,100人余りが自分の仕事を持ちながら、消防団員として活動している。市では小学4~6年生を対象に歴史や技を学ぶ場として「子どもはしご登り教室」を実施するなど、貴重な伝統文化を受け継ぐ取り組みも行っている。

 当日は、消防職員・団員・元団員など125人、7分団が功労や永年などの表彰式に臨んだ後、金沢城菱櫓(ひしやぐら)を背景に47本のはしごを並べた27種の「加賀とび・はしご登り」、全49分団による「一斉放水」が勇壮に行われた。

 「加賀とび・はしご登り」では、今年から参加した新人の登り手4人を含む、23~59歳の幅広い年齢層の団員が一丸となって演技。昨年7月に水害被害を受け、その復旧作業に追われながら「はしご登り」の練習に励んできたという湯涌分団員も参加し、「鶯(うぐいす)の谷渡り」「しゃちほこ」「八艘(はっそう)飛び」などを演じて成果を披露。「子どもはしご登り教室」の50人の子どもたちによる「木遣りくずし合唱」も演技を盛り上げた。

 はしごは団員が「真竹」を使い自ら作成したもので、高さは6メートル。消防のシンボルの纏(まとい)は昔、家紋のように各団がそれぞれ違う紋様を使ったが、現在は前田家の「梅鉢」の紋様となっている。団員と市民が共に加賀百万石の心意気を肌で感じながら、古くから受け継がれてきた防災の精神で災害のない平和な新年を願った。

 式の最後には、サイレンとともに下帯(したおび)姿の団員が果敢に一斉裸放水を始めると、会場からは大きな歓声がわいた。

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