
珠洲焼作家・林春香さんの初個展が5月19日、「高木屋工藝(こうげい)館」(金沢市大樋町)で始まった。
会場は「高木屋金物店」の築100年以上の町家の中にあり、洋風の書斎だった部屋を改装したギャラリー。
林さんは広告デザインを学び、広告関連の仕事に就いたが、ものづくりが好きで、金沢の陶芸教室に通っていたという。祖母からもらった珠洲焼のカップに心を引かれたことをきっかけに2021年、珠洲市に移住。珠洲市陶芸センターに通い珠洲焼を学び、作家活動を始めた。能登半島地震の影響でしばらく制作できなかったが、2024年秋に窯が復旧したため、今は金沢から珠洲に通いながら制作活動を行っているという。
会場には、ひまわりの花をモチーフにした花器、皿、カップ、片口(かたくち)や、ひまわりのオブジェや壁飾りなどの作品を、金物店の古い調度品と共に並べた。中にはひまわりの種をモチーフにした物も並ぶ。まき窯によって灰が自然のうわぐすりとなった物や、白化粧と呼ばれる手法で絵付けを施した物など、多彩な表現の作品をそろえた。珠洲焼以外にも、ひまわりを描いたアクリル画やペン画などの額装作品も展示する。町家の中にある板の間や廊下などにも作品を並べる。
林さんは「ひまわりが太陽に向かっていく姿を見ると元気が出る。見る人に元気になってもらいたいとの願いを込め、モチーフにした」と話す。「歴史のある特別な空間で展示ができてうれしい。珠洲焼と絵の作品を並べることで生まれる世界観を感じてもらいたい」とも。
開催時間は10時~18時。入場無料。6月8日まで。