展覧会「コレクション展3」が2月1日、金沢21世紀美術館(金沢市広坂1)で始まった。
開館20周年を記念し「今見せるべき作品」をテーマに同館が収蔵する約4200点から12組の作家の全128作品を出展する。
目玉となる大型作品の「パルス・ルーム」は、2009(平成21)年にメキシコのラファエル・ロサノヘメルさんが同館の展示室に合わせて制作したインスタレーション。2012(平成24)年以来、13年ぶりの展示となる。天井に約300灯の白熱灯を配置した展示室内には心拍センサーを搭載したスタンドを置き、観覧者がグリップを握ると心拍のリズムが信号に変換され白熱灯が点滅する。制作当時にはガラス板をはめ込んでいた天井が2024年1月に発生した能登半島地震で破損。現在はガラス板を撤去している。
ガラス板がない状態で作品を展示していることについて、担当学芸員の梅谷彩香さんは「命の鼓動のように点滅する光が、鎮魂や復興、新たな命の息吹につながるように感じている。地震から1年というタイミングでの展示にシンボル的な意味もある」と話す。
本年度新たに収蔵した作品も、前期(3月23日まで)と後期(3月25日~5月11日)に分け、長期インスタレーションルームに展示する。
前期の展示では、2015(平成27)年に25歳で亡くなった中園孔二さんの絵画10点を公開している。9年間という短い作家人生の初期から晩年までの作品が一堂に会する。同じ展示室には、鯉江真紀子さんとホンマタカシさんの写真作品も展示する。
担当学芸員の高木遊さんは「中園さんはインターネットなど新しい感覚に対して、分かりやすいキャラクターやアニメ的な表現ではなく絵画で表現するまれな作家。絵画のセオリーより独自の感覚を重視しており、何を描いているかよりも醸し出される雰囲気を感じてもらいたい。同じ空間には、中園さんの作品とレゾナンス(共鳴)が生まれる作家の作品を展示した。鯉江さんの作品はどこでもない場所を表現しており、ホンマさんの作品は複数の作品をランダムに組み合わせる展示方法を取ることで、何を表しているか分からない状況を作り出している。たくさんのコレクションの中から選んだ作品同士の巡り合わせも面白さの一つ」と話す。
5月11日まで。
同美術館の開館時間は10時~18時(金曜・土曜は20時まで)。月曜休館。入場料は一般=450円、大学生=310円、小中高生=無料。