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白山の牛首紬工房にファッションブランド「MIZEN」 職人の技術を主役に

店内に並ぶMIZENの商品

店内に並ぶMIZENの商品

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 ファッションブランドのMIZEN(東京都港区)が1月24日、西山産業開発が運営する白山工房(白山市部入道町)内に「牛首紬×MIZEN白山店 加賀乃織座」をオープンした。

MIZENの商品を説明する寺西俊輔さん

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 牛首紬は西山産業開発社長・西山博之さんの祖父が再興させた白山市の伝統工芸。糸の太さにばらつきがあり、機械にかけられないために「くず繭」と呼ばれていた「玉繭」を集め、手作業で糸を取って普段着を作っていたことから技術が伝承されてきた。今ではこの糸の特徴を生かして独特の風合いや手触りの製品を作っている。

 MIZENは寺西俊輔さんがエルメスのデザイナーとしてパリで活動していた時に、西山さんが展示会に出展していた牛首紬と出合ったことから生まれた洋服ブランド。「ファッションの世界ではデザインを技術が下支えしているが、MIZENは職人の技術を主役にしてデザインを考えている」と寺西さん。「従来のファッションはパリやニューヨークなど海外の大都市発が多かったが、日本の地方発という新しい動線をつくっていきたい。それが仲間づくりやまちづくりにつながれば」と話す。

 西山さんは「呉服市場は1980年代のバブル期から10分の1くらいになってしまい、和装しない人が多くなった。着物だけだと興味さえ持ってもらえないと危惧していたので、MIZENによって『新しい入り口』をもらったと感じている」と話す。

 同店裏にある工房では、金沢に来るインバウンド客にも立ち寄ってもらいたいと、職人による工程解説と糸ひき、機織りの体験ができる予約制の工房見学(1人1万円)を始める。西山さんは「繭から糸を取るところから反物にする約20の工程を1カ所で行っている工房は日本にはほとんどない」とし、「金沢から近いこの地域の観光資源になれば」と期待を込める。

 寺西さんは「当店では200種もの反物を実際に見て触れて選ぶことができるのがメリット。洋服を作った端材でケープなどを仕立てるサービスや、持っている牛首紬の着物を洋服に仕立て直すリメークなども行い、職人に仕事を提供することで地域経済にも貢献する。MIZEN専用の柄もあるので、職人が新しい織りにチャレンジして技術を磨くこともできる」と話す。

 営業時間は10時~18時。平日のみ。

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