金沢21世紀美術館(金沢市広坂1、TEL 076-220-2800)で現在、染色作家・樫尾聡美さんの個展「生命の内側にひそむもの」が開催されている。
樫尾さんは、加賀友禅の伝統的な手法を踏まえながら、鮮やかな色彩や現代的なデザインを取り入れた作風が特徴。2008年に金沢美術工芸大学を卒業、2012年に金沢卯辰山工芸工房を修了し、現在は金沢をはじめ各地で展覧会を開いている。同館での個展は初めて。
今回は、樫尾さんが昨年から展開する空間に合わせた天井づりの大作を展示する。縦5.5メートルの布を、赤を基調に細胞のような模様を配して染め上げる一方、飛行機や建物、数字など日常的なモチーフを施し、足元にクッションを並べるなど現代的な要素も加えたユニークな作品。カーテンのようにつるされた作品の間は通り抜けでき、生命力あふれる独特の空気感を体感することができる。
同展は、新進気鋭の若手作家を個展形式で紹介する展覧会「アペルト」シリーズの2回目。数年前から樫尾さんの作品に注目し、同展を企画した同館のキュレーター・内呂博之さんは「加賀友禅の伝統と現代的な感覚、真相に迫るような鋭い視点とポップさなどのギャップが面白い。この機会にたくさんの方に見てもらえれば」と来場を呼び掛ける。
開催時間は10時~18時(金曜・土曜は20時まで)。入場無料。期間中の休館日は月曜(10月12日・11月23日・1月11日は開館)と、10月13日・11月24日・12月28日~2016年1月1日・12日。来年1月17日まで。