金沢市企業局は下水道工事開始50年を記念し、5月24日、伝統工芸の「加賀水引」をイメージしたマンホールを同市の武蔵ケ辻~片町間の国道157号沿の歩道8カ所に設置した。
「下水道というと汚い・臭いなど、良いイメージは持たれない。少しでもイメージを変え、関心を持ってもらえれば」と同局担当者が企画した。再来年に金沢開業を控えた北陸新幹線を見据え、観光客が多く行き交うメーン通りに設置することで、街中への賑(にぎ)わい創出に貢献する目的もある。
昨年10月にデザインを依頼したのは、産学連携に取り組む金沢美術工芸大学。5人の学生が制作したデザイン11案の中から、同大学と同局職員が審査員として選考し採用したのが、同大学院金工コースの田垣芳憲さんの作品。「金沢らしい図案」「景観を考えた落ち着いた色彩」などの条件の中で田垣さんが制作したのは、流れる水をイメージしたブルーをベースに加賀水引をイメージしたもの。街中に張り巡らされた下水道のネットワークを、金沢金箔(きんぱく)をイメージした重なり合う黄色の線で表現した。
今回、マンホールが設置された地区は観光客やビジネスマンも多く行き交うメーン通りで、車道からでも鮮やかな色彩が目を引く。歩道の安全性を第一に考え、透明プラスチック加工の滑り止めも施した。
同局担当者は「田垣さんから上がってきたデザインのデータからマンホールにするにあたり、色彩の調整に苦労した。金沢の中心部を歩く人々に注目してもらえれば」と話す。