金沢の東茶屋街に3月1日、押しずし体験工房「金澤寿し」(金沢市東山、TEL 076-251-8869)がオープンした。
店長の周田まゆみさんが「女性が活躍する場をつくりたい」「北陸新幹線開業に向け、金沢を訪れる人に地元の食文化や歴史を伝えたい」との思いで始めた同店。運営するスタッフは平均年齢66歳で、ベテラン主婦がほとんど。金沢を知り尽くした女性たちが、郷土の食文化でもある「押ずし」を新たな観光の目玉にしようと奮闘する。
2階建ての同店の店舗面積は約30坪。1階には体験スペースのほか、一口サイズのササずしが並ぶテークアウトコーナーを設ける。2階の和室も、体験スペースとして活用する。
昔から祝い事などに欠かせない料理として受け継がれてきた「押しずし」は、親戚などが材料を持ち寄り、作業を分担しながら皆で作っていたという。その食文化と技術は今日まで受け継がれ、地域に深く浸透している。同店の「金澤押し寿し」は、季節ごとに具材を変えるなどアレンジを加え地元食材にこだわる。
今の季節の具材は、干しホタルイカ・フグのぬか付け・干し甘エビ・小坂レンコン・能登産どんこシイタケ・五郎島金時芋・菜の花など約20種、すしを包むササの葉も香りの良い国産にこだわる。食べる時に、箸袋に仕込まれた金箔(きんぱく)を散らす仕掛けも。体験が終わると、金沢の方言で書かれた「終了証」が手渡される。
周田さんは「今後は要望に応じて、学校や団体への出張体験もやっていきたい。地元を知り尽くした『おばちゃん』と金沢にまつわる歴史や文化を語らいながら、食文化を楽しく体験してもらえれば」と呼び掛ける。
営業時間は9時~16時。体験料金は1,500円、所要時間は約30分。10人程度の団体は予約が必要。