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金沢で町家巡りイベント-築100年超えの民家など約60軒公開

金澤町家研究会幹事の奥村久美子さん(右)の案内で春日町の町家を見て歩くツアー参加者

金澤町家研究会幹事の奥村久美子さん(右)の案内で春日町の町家を見て歩くツアー参加者

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 金沢市内にある町家を巡り、その魅力を再認識するイベント「金澤町家巡遊2012 ひと・わざ・暮らしの町家祭」が9月22日、始まった。期間中、民家を含めた約60軒が公開される予定で、初日と2日目は今年のメーン会場である大樋町と春日町で見学ツアーが行われた。

大樋町と春日町で開催された町家見学ツアーの様子

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 主催は、建築家や研究者、市民らで組織するNPO法人「金澤町家研究会」。同会によると、1950(昭和25)年以前に金沢市内に建てられた木造住宅「金澤町家」は約6500軒が現存するが、毎年約300軒が取り壊され、減り続けている。このため、近代建築にはない味わいを市民らに感じてもらい、保存の機運を高めようと、2008年から同イベントを開催している。

 今年は初めてメーン会場を設定した。旧北国街道の北端に位置する大樋町と春日町は、多くの町家が残されているものの、観光地ではないため、市民でも足を運ぶ機会があまりないことなどから選ばれた。

 日頃、公開されていない一般住宅の内部も見学できるのがこの催しの特徴で、23日に行われた「昭和の香り漂う商店&裏路地ツアー」では、市民や東京在住の外国人学生ら15人が築約100年という川畑クリーニング店店主、川畑外喜夫さん宅を訪れた。赤壁の床の間を備えた16畳の座敷と2階が一日限定の喫茶店「ちょっといっぷく さくら」として開放され、参加者は親戚の家を訪ねたかのように座布団や椅子に座ってくつろいだ。

 江戸時代後期の1848(嘉永元)年に鍛冶屋として創業した高木屋金物店(大樋町)では、約50平方メートルの広さの庭が公開された。コイが泳ぐ池や築山があり、木々が緑陰を作る趣のある日本庭園で、立ち寄った女性たちは「すてきな庭。見ることができて良かった」などと感嘆の声を上げていた。

 参加した市内在住の無職、太田誠一さん(76)は「昔からのたたずまいを見ることができて良かった」と笑顔を見せ、スタッフを務めた早稲田大学大学院建築学専攻博士課程2年、ジャン・ミンヨンさん(26)=韓国出身、東京都在住=は「歴史、まちづくりについて勉強しているので、町家が並んでいる金沢を研究したいと考えて参加した。補助金をもらわずに建物を保存していることが素晴らしい」と話した。

 今後は武蔵地区や浅野川・犀川周辺、大野など市内各地でツアーや勉強会、対談が行われる。期間中は、町家を利用したショップでも趣向を凝らした企画が用意されている。詳細は「金澤町家巡遊」ホームページで確認できる。10月8日まで。

後援申請20141009
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