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金沢に1人1泊10万円の町家旅館-新幹線開通に向け富裕層取り込みへ

手前は座敷、奥は茶室。その向こうには庭がある

手前は座敷、奥は茶室。その向こうには庭がある

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 金沢の町家旅館いりたや「川久庵(かわきゅうあん)」(金沢市中央通町、TEL076-261-8785)は2014年度末に予定されている北陸新幹線金沢開業に向け、外国人富裕層をターゲットにした素泊まりで1人1泊10万円の宿泊プランを売り出している。

町家旅館いりたや「川久庵」

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 「明治以前に建てられた」(代表の入田恭平さん)という同旅館は、天井と板戸、柱は漆塗り、群青(ぐんじょう)色や朱色の土壁を備え、昔の金沢の町家の雰囲気を今に伝えるしつらえ。1日につき1組2人だけを受け入れる「一日一客の宿」をうたい、宿泊客は建物1階にある「囲炉裏(いろり)の間」9畳と座敷10畳、茶室7畳、寝室10畳、ダイニングキッチン7畳の5部屋と、夜と翌朝用の浴室2カ所、トイレ2カ所を自由に使うことができる。

 1年前までは一般的な旅館同様、1組につき8畳程度の和室1部屋を提供する形態だったが、北陸新幹線金沢開業によって金沢を訪れる外国人旅行者が増えると見込み、方針を変更。屋根や床、壁などを改修するとともに、茶室を作り、帳場だった場所は畳から板敷きに変えて「囲炉裏の間」に。キッチンも開放し、座敷には60型のテレビや無線LANを備えて衛星放送やインターネットも楽しめるようにし、1日につき1組が独占できる「和のスイートルーム」を作り上げた。

 トイレにはぜいたくに金箔(きんぱく)をあしらい、洗面所には床のガラス越しに古井戸をのぞける仕掛けも。

 素泊まりのため、食事は宿泊客の要望を聞いて市内のお薦めの店に案内する。秘書や運転手ら同行者には、無料で宿泊用の部屋を用意するという。日本人も利用できる。

 入田さんは「金沢市内はホテルが次々にできて、旅館は以前の半分ほどに減っている。金沢で一番小さな宿であるうちは、ほかと同じことをしていたら駄目だと思い、ターゲットを絞った。本物の町家をお見せするので、それに値打ちを感じる方に来ていただけたら幸せ」と話している。

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