金沢市の近江町市場(青草町)青年部は市場関係者や買い物客から募った義援金を使い、毎月1回、東日本大震災の被災地に食料品を送っている。5月30日も野菜や果物、菓子などを宮城県石巻市と岩手県大槌町に向けて発送した。
青年部は震災発生翌日の昨年3月12日、市場内に募金箱を設置し、5月30日までに200万円を超える義援金が集まった。昨年6月には義援金の一部を使って、宮城県名取市の閖上(ゆりあげ)中学校の生徒が避難している同市不二が丘小学校にユーフォニウムなど5種類の金管楽器を寄贈した。日本赤十字社にも現金約20万円を寄託している。
支援第3弾となる被災地への「定期便」は、毎月、東北に出向いてボランティア活動を行っている「宇宙志縁隊」(金沢市)の高木進さんが仲介した。送付先の一つは石巻市鹿妻(かづま)地区の住民が集う無料喫茶サロン「おちゃっこ鹿妻」で、2月から毎月1回、ウナギや五郎島金時、イチゴなど2万円相当の食料品を送っているという。
このサロンは、津波で住宅の1階部分が使えなくなり、互いの家を行き来できなくなったお年寄りたちが集まってお茶を飲む場所として開設された。世話役の齋藤ヒロ子さんは「今は車があれば買い物に行ける状態になったが、漁港が再開しないことには仕事がなく、元の生活に戻るにはまだ時間がかかる。送っていただいて大変ありがたい」と感謝する。
もう1カ所は大槌町の大槌保育園で、4月に初めて「定期便」を届けた。中身はイチゴで、園児76人がおやつとして食べたほか、それぞれ自宅に持ち帰ったという。園児の半数以上は仮設住宅暮らしを余儀なくされており、八木澤弓美子園長は「値段が高い果物はなかなか買わないので、助かっている」と喜ぶ。
近江町市場青年部は30日、「おちゃっこ鹿妻」に向けてバナナ24キログラムとスイカ6玉、大根7本、キャベツ6玉、トマト20個、大槌保育園に向けてアメリカンチェリー8キログラムと菓子10袋を発送した。
青年部長の坂野浩章さんは「募金をしてくれた方々の気持ちに応えたい。復興するまで時間がかかると聞いているので、長いスパンで応援していく」と話した。