金沢市内の漁業者で作る「金沢海産物ブランド化推進協議会」が11月6日のズワイガニ漁解禁を前に、雌コウバコガニの地元ブランド「かないわ香箱(こうばこ)」のさばき方・食べ方を指南するリーフレットを製作した。雌ならではの内子や外子、繊細な身を食べずに捨ててしまっている東京や大阪などの消費者に、カニを熟知した漁業者たちが、その魅力を伝える。
「かないわ香箱」は、昨年のカニ漁解禁に合わせて同協議会が作ったブランド。所属する底引き網船が同市金石沖で捕り、金沢港に水揚げするコウバコガニを指す。同所は海底が泥で栄養を多く含むため、「大きくて甘みが強く、身がしっかり詰まっていることが特徴」(同協議会)。
ポスターを作るなどして、PRに努めてきた同協議会は、首都圏や関西で雌の知名度が低く、県内の親せきや知人から贈られても、食べ方を知らずに身の詰まった足を捨ててしまう人がいることを耳にしリーフレット製作に乗り出した。「極めて美味」(同協議会)な内子・外子を残し、「食べるところがなかった」と贈り主にぼやく人もいるという。
漁業者たちは8月ごろから市職員、デザイナーらと額を寄せ合い、消費者に知らせたい内容を検討。腹部にある「前かけ」や甲羅をめくり、内子・外子を取り出す方法や、包丁で足に切れ目を入れる様子を写真付きで紹介した。ゆでたものと生の見分けがつかない人もいることから、双方の写真も掲載する。
製作部数は2万部で、近江町市場(青草町)や金沢港いきいき魚市(無量寺町)、市内の鮮魚店などに配布した。首都圏・関西への発送用に利用してもらうほか、地元の買い物客にも無料で持ち帰ってもらう。
同協議会の事務局を務める同支所の安納良一参事は「地元では各家庭でさばき方が違うが、一般的な方法を載せた。ぜひ参考にしてほしい」と話す。
今年のカニ漁は11月6日午前0時に始まり、7日早朝には、近江町市場などに「かないわ香箱」をはじめとするコウバコガニと、雄の「加能ガニ」が並ぶ。コウバコガニ漁は来年1月10日まで、加能ガニは同3月20日まで。