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「金管楽器をありがとう」-宮城・閖上中が金沢・近江町市場でお礼の演奏

亡くなった部員のパートを埋めるため、OG、OB(左から1、2、3人目)も参加した

亡くなった部員のパートを埋めるため、OG、OB(左から1、2、3人目)も参加した

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 金沢・近江町市場青年部が市民や観光客から募った義援金で金管楽器を贈った東日本大震災の被災地、宮城県名取市の閖上(ゆりあげ)中学校吹奏楽部が7月31日、同市場で感謝を込めて演奏を披露した。津波で自宅を失い、友人を亡くし、一度は音楽を続けることも諦めかけたという部員たち。キラキラと輝きを放つ真新しい楽器を手に再び仲間と共に演奏できる喜びを語り、被災後の生活を気にかけていた青年部員ら市場関係者を安心させた。

贈られた金管楽器などを使って演奏を披露する閖上中吹奏楽部

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 海岸近くに位置する同校は3月11日の大震災で校舎1階が水浸しになり、同階の音楽準備室に置いてあった金管楽器や打楽器は水に漬かって使えなくなった。同市教育委員会から支援要請を受けた同青年部は6月2日、募金箱に寄せられた義援金の一部を使ってユーフォニウムやフレンチホルン、アルトサックスなど5点を避難先の同市不二が丘小学校に送り、生徒たちを激励。吹奏学部はこれら金管楽器や修理した木管楽器、石川県と交流のあるドイツ・ハム市から贈られたドラムセットなどを使って部活動を再開した。

 今回、七尾市で30日・31日に開催された「モントレージャズフェスティバルイン能登」の実行委員会から招待を受け、石川県を訪れた。同フェス初日のステージに立ち、大震災で亡くなった女子部員3人の代わりを務めるOB、OG4人を含む14人がB’zの「イチブトゼンブ」など3曲を演奏した。部長の渡邊あかりさん(3年)は「また楽器を吹けるのか、とても不安だった。しかし、石川県をはじめ全国各地から支援いただき、今日の日を迎えることができた」とあいさつし、観客から大きな拍手を受けた。

 渡邊さんはステージを降りた後、「楽器を吹いていると、亡くなった部員のことやつらかったことを思い出すが、やっぱり音楽は楽しい」と語り、演奏する喜びをかみしめていた。

 31日は近江町いちば館前広場(青草町)でNEWSの「weeeek」を披露。副部長の枝松菜央さん(3年)は「震災の後、すぐに楽器を送ってくださったのは近江町だった。石川県が大好きになった」とお礼の言葉を述べ、ユーフォニウム担当の小斉祥平君(3年)は「これまで新品を使ったことがなかったので、箱を開けた時、ピカピカでびっくりした。贈ってくれた人たちの前で演奏できてうれしかった」と明るい笑顔を見せた。

 青年部長の坂野浩章さんは「皆さんの元気のある演奏を聴けて本当にうれしい。これからも人と人のつながりを大事にして頑張ってください」と励ました。

 部員たちは市場内に今も置かれている募金箱の前で、楽器を大切に使うことを誓った。

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