黄金週間の金沢をクラシック音楽一色に染める「ラ・フォル・ジュルネ金沢『熱狂の日』音楽祭2011」が4月29日、始まった。金沢大学フィルハーモニー管弦楽団など3団体がそれぞれJR金沢駅と高岡市の富山県高岡文化ホール、JR福井駅で一斉にオープニングファンファーレを奏で、県民や観光客らに開幕を告げた。
今年のテーマは「ウィーンのシューベルト」。JR金沢駅コンコースでは、同管弦楽団が東京音楽大学の学生、三國浩平さん(野々市町出身)が作曲したオープニングファンファーレ「Vienna Fanfare」とシューベルトの「軍隊行進曲」などが演奏された。
石川県立音楽堂(金沢市昭和町)でのオープニングセレモニーでは、初めに東日本大震災の犠牲者を悼んで、金沢市出身のオルガニスト黒瀬恵さんが「アヴェ・マリア」をパイプオルガンで献奏。前田利祐実行委員会長が「アーティスティック・ディレクターのルネ・マルタンさんから『(震災に見舞われた)このような時こそ、音楽による感動が人々の心に勇気を持たせる』というメッセージを頂いた。(期間中)クラシックのシャワーを浴びて楽しく過ごしていただければ」と、県民や観光客の来場を呼び掛けた。谷本正憲知事と山野之義金沢市長もあいさつに立った。
引き続き、約1,600人の聴衆を前にオープニングコンサートが行われた。31年の短い生涯で600曲もの歌曲を作り、「歌曲王」と呼ばれるシューベルト。ナビゲーターを務める作曲家、三枝成彰さんは「歌を芸術にした人」と紹介した。
オーストリア出身のバリトン歌手ヴォルフガング・ホルツマイアーさんはオーケストラ・アンサンブル金沢の演奏に合わせて、魔王に取りつかれた子どもと父親のやりとりを描いた「魔王」を熱演し、森岡紘子さんは小川を泳ぐマスを釣り上げる漁師の物語「ます」を美しいソプラノで歌い上げた。テノール歌手の志田雄啓さんは愛の歌「セレナード」で聴衆を酔わせ、シューベルトの楽曲の多彩さを印象付けた。
同オーケストラは、交響曲第8番「未完成」も披露し、出演者と観客が「野ばら」を合唱する場面もあった。
同音楽祭は同音楽堂をメーン会場に、5月4日までの約1週間にわたって有料・無料のコンサート約170公演を繰り広げる。国内外から集まったオーケストラやアーティスト96団体約2,700人がシューベルトをはじめ、シューベルトが敬愛したベートーベン、ウィーンでよく聴いたロッシーニらの曲を演奏する。このうち約100公演は無料で入場でき、0歳から楽しめるステージも用意する。
30日と5月1日には、金沢21世紀美術館や竪町ストリート、武蔵・香林坊地区の百貨店・ファッションビルなどで「街なかコンサート」が行われた。