金沢美術工芸大学と金沢問屋センターは3月15日、美大生らの滞在制作や作品展示の場として、空き店舗を活用した「問屋まちスタジオ」(金沢市問屋町)を開設した。
アートを活用した新しい街づくりを目的に、両者が昨年5月に締結した「問屋町の街づくりに関する協定」の一環。ギャラリーや美術館といった「作品鑑賞の場」としての機能だけではなく、「アートが生まれる場」としても新たな発信拠点を目指す。
21日まで行われた「TRAILER CAMP(トレーラー・キャンプ)」では、彫刻・現代アート・絵画など来月の展示会に向けた作品づくりに励む7人の作家が制作風景を公開した。
「商業のまち」として日中はにぎわう同町は、住人が少ないため夜は静まりかえる。同スタジオで寝泊りしながら活動する現代アート作家の馬医大輔さんは「こんなにも広い制作空間があり、夜中でも音を出すことを気にせずに活動できるのはありがたい」と話す。「制作する姿を公開することで地元の人にも活動を認知してもらい、新たな交流も生まれれば」とも。
参加する学生らの指揮を執る同大の中瀬康志教授は「当大学の9割の学生は県外出身者で、優秀な学生の多くは卒業後、県外で就職するケースが多い。金沢に根を生やす作家が活動する場としてのレジデンスが機能し、世界にも発信する場となれば」と期待を込める。