日本フットボールリーグ(JFL)所属の地元サッカーチーム「ツエーゲン金沢」は3月27日、県西部緑地公園陸上競技場(金沢市袋畠町)で東日本大震災の被災地復興支援試合を開催する。チームの中には実家が被災した選手もおり、家族やふるさとの友人・知人を案じながら、「サッカーを通じて、被災者の力になりたい」と本番に向けて練習に励んでいる。
練習試合に出場した久保竜彦選手(3月6日、ツエーゲン金沢提供)
対戦相手は県社会人サッカー連盟選抜。普段は練習試合などを行うことはなく、2007年の能登半島地震の際、七尾市で慈善試合をして以来の対戦となる。入場は無料で、会場では両チームの選手やスタッフ、サポーター、同連盟役員らが募金活動も行う。
ツエーゲン金沢のDF根本裕一選手(29)は茨城県神栖市の実家が床上浸水の被害に遭った。家族7人は内陸部にある隣町の親戚の家に避難中で、「すぐに行きたかったが、ガソリンの販売が制限されているので交通の回復を待つことにした」と、もどかしげに語る。仙台市出身の同斉藤雄大選手(24)の実家も地震の揺れで窓ガラスが割れタンスが倒れた。電気は復旧したが、水道水は止まったままだという。斉藤選手は「帰っても何もできないので、試合を通して自分たちでサポートできることをしていきたい」と力を込める。
上野展裕監督は、20日に滋賀県東近江市で行ったMIOびわこ草津(同県草津市)との練習試合の際、仙台市に住むファンから「勇気をもらい、ありがとうございました」と包み紙に記した菓子箱をもらったと明かし、「まさか被災地から来られているとは思わなかった。少しでもお役に立てて良かった」と、顔をほころばせた。27日の慈善試合に再び被災地に住むファンが訪れるかはわからないが、「私たちの募金活動で、被災された皆さんが希望を持ってくれたらうれしい」と語る。
キックオフは13時。
同チームは4月3日にも、同競技場で被災地復興支援試合を開催し、AC長野パルセイロ(長野市)と対戦する。14時キックオフで、こちらも入場は無料。JFLが東北電力と東京電力管内の電力事情と観客の安全を考慮して、4月開催の第4節~第6節の全試合の中止を決めたことから、第4節で組まれていたパルセイロ戦を復興支援試合に切り替えた。