九谷焼の新境地開いた「白いバナナ」-上出惠悟さんが初個展

個展で展示されている上出さんの作品

個展で展示されている上出さんの作品

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 能美市在住のアーティスト・上出惠悟さんの初個展「Para:sides」の前半展「side A」が11月10日、アートスペース「pARa:siTe(パラ:サイト)」(金沢市松寺町子 G-WING’S内、TEL 076-238-0788)で始まった。

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 上出さんは明治12年創業の九谷焼窯元・上出長右衛門窯に生まれ、東京藝術大学では油画を専攻。現在は九谷焼を素材に制作活動を展開するほか、同窯のデザイナーとしても活動している。今年から、筆記具メーカー・モンブランが日本独自で始めた若手アーティスト支援プロジェクト「モンブラン ヤング アーティスト パトロネージ イン ジャパン」の出品アーティストに選ばれ、4月26日~7月7日にモンブラン銀座本店で作品を発表。さらに、スポーツブランド・PUMAとアーティスト・MARUWAKAさんとのコラボレーションによるカスタムバイクプロジェクトで、サドルやハンドルなどの自転車部品制作を九谷焼で手がけるなど、九谷焼を素材に新境地を開拓するアーティストとして注目されている。

 同展では、九谷焼「甘蕉(ばなな)」シリーズの作品を展示している。同シリーズは、九谷焼を眺めていた上出さんが、生地の肌からバナナの皮を連想したのをきっかけに制作をスタートさせた。「現代美術は、まず表現したいものがあって、そこからメディアとしての素材を選んでいく手法がとられるが、工芸は素材ありきで強い縛りがある。工芸の立場から、現代美術とは逆の発想で素材から何が表現できるかを考えた」(上出さん)。

 作品には九谷焼の磁土に独自のブレンドを加えた同窯の生地を使用し、バナナの皮の傷の付き具合や微妙な凹凸までもがリアルに表されている。生地の表面には丸紋や文様が九谷五彩を使って描かれ、商標シール付きのバナナのよう。同展は「自己紹介を兼ねて」(同)開催し、過去の作品に加え、シリーズ新作もお披露目。2008年1月10日より開催される後半展「side B」は新作発表という位置づけで、上出さんは同スペースの空間を生かした九谷焼での新たな表現に取り組んでいる。

 営業時間は10時~17時。前半展は12月5日まで。

上出長右衛門窯G-WING'Sギャラリー

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