金沢星稜大学大学院(金沢市御所町)の大薮多可志経営戦略研究科教授(センサーシステム工学)は11月17日までに、観葉植物や穀物・野菜の葉・茎を空中に飛散する汚染化学物質の感知センサーとして役立てる研究に乗り出した。「シックハウス症候群」や化学物質過敏症の予防に利用したいとしている。
研究では、水や二酸化炭素などを取り入れた際、植物の中で活発化する「植物生体電位」に着目。植物は、炭素を含む化学物質も吸収するうえ、その物質によって活発化する時間と度合が異なることから、同教授は汚染化学物質の有無の確認と特定に使おうと考えた。
手始めに、消毒用として広く使われているエタノールと、プラスチック系接着剤や塗料の溶剤などの成分で、部屋の壁紙を張る際にも利用されるアセトンで実験。気温26度、相対湿度80%に設定した実験装置の中に観葉植物の「ポトス」を置き、約10ppmのエタノールとアセトンをそれぞれ6.6マイクロリットルずつ入れて電位を測定した。
エタノールの場合は、電位は約3分後に約30%、アセトンの場合は約25%上昇。里芋やキャベツでも同様の反応が見られた。
今後は「シックハウス症候群」の原因物質の一つとされ、国際がん研究機関が「発がん性を有する」と警告しているホルムアルデヒドなどについても調べる。将来的には、空気中に人体にとって危険な汚染物質があると感知した際に「危険です。チェックしてください」と人間の声で警告するスピーカー付き制御機の製作につなげる計画も。
大薮教授は「これまでの研究で、植物にホルムアルデヒドをはじめとする汚染化学物質の浄化効果があることはわかっている。研究を進め実用化したい」と意気込みをみせる。