加賀友禅作家や染色、のり置きに携わる職人らで作るグループ「加賀友禅懇話会」の会員有志が自ら手がけた新作友禅小物を発表・販売するイベント「平成友禅商店」が現在、金沢白鳥路ホテル(金沢市丸の内、TEL076-222-1212)で開かれている。
同懇話会の事務局長を務める北澤寛司さんによると、加賀友禅の着物や帯は京都や大阪、名古屋などの問屋を通じて全国に販売されているが、地元の作家や職人が手がけた友禅小物については問屋がほとんど取り扱わないため、あまり流通していない。このため、同懇話会では、直接、消費者と顔を合わせ、自作の製品を売り込む場を作ろうと「平成友禅商店」を企画。8月から毎月1週間~10日程度、同ホテルを会場に開催している。
今回は、10人が友禅と古布(こふ)をパッチワークしたペットボトルケース(5,300円~)や、抹茶色の生地にピンクやオレンジの大きな水玉を描いた数寄屋(すきや)袋(1万8,000円)、ホテル名にちなんで白鳥をデザインした化粧紙入れ(4,000円)、松とツルを絵柄にした屏風(びょうぶ)(48万9,000円)、アロハシャツ(9,800円)などを出展。各人が日ごろ携わっている作家や職人の仕事にとどまらず、自らデザインを考え、のりを置き染色して、ミシンや手縫いで形を整え完成させた作品がほとんどで、遊び心が感じられる。
接客も交代で作家が担当する。出展者の染色クラフト作家、吉田とし美さんは「着物だけを作っていたときは、お客さまと話をする機会はめったになかった。接客を通じて、製品についての感想をうかがうことができ、とても参考になる」と話す。
会場では加賀友禅のミニ額とハンカチを制作するワークショップも実施しており、県外からの宿泊客が伝統工芸に親しんでいる。
北澤さんは「地元客は『義理買い』をするが、観光客相手では商品の真価が問われる。来店客の話をうかがいながら、製品の完成度を高めていきたい」とさらなる意欲をみせる。
開催時間は9時~19時。今月24日まで。