金沢21世紀美術館(金沢市広坂、TEL076-220-2800)の長期インスタレーションルームとプロジェクト工房で現在、展覧会「高嶺格『Good House, Nice Body~いい家・よい体』」が開催されている。
同展は、同館が展開する「金沢若者夢チャレンジ・アート・プログラム」の第4弾として今年4月にスタート、現代美術家・高嶺格さんによる長期プロジェクト型展覧会で「Good House(いい家)」と「Nice Body(よい体)」の2つのプロジェクトで構成されている。
プロジェクト第1章「Nice Body」では、オーディションで選ばれたメンバーが役者として参加し、「家」を舞台に映像と音声が錯綜(さくそう)する映像インスタレーションを作り上げた。長い年月の中で「家」を通過していった人たちの魂、記憶、足跡、声、においなどが光を帯びて駆け巡る時空を創出している。
8月28日に公開が始まった第2章「Good House」は、いつの間にかパッケージ化されカタログから選んで買わされるモノになってしまった「住処=すみか」を自分たちの手に取り戻すことをテーマに、高嶺さんが鋭敏にかぎ取った現代住宅に潜む「インチキ臭」への嫌悪を出発点に、メンバーや来場者とともに「人が住む場所とは何か」について、自分の身体を使い、作り、感じ、考え、発信するというワーク・イン・プログレスで進めている。
多彩なメディアを駆使した表現活動で高い評価を集める高嶺さんが、プロジェクトのパートナーに招いたのは、土嚢(どのう)建築の研究・実践者である渡辺菊眞さん。プロジェクト全般にわたり指導を受けながらメンバーとともに制作を続け、土嚢や廃材を用いた家づくりを実践する中で「Good House~いい家」について考える。
関連プログラムとして10月23日・24日、ワークショップ「インクルーシブ・アーキテクチャー みんなで作る巨大段ボール建築」を予定。
高嶺さんは「メンバーとともに制作を進めるうち、想像もできなかった作品が出来上がるのが醍醐味(だいごみ)」と酷暑の中での協働制作を振り返り、渡辺さんは「身近な存在である『家』が薄っぺらなものになっていくのは怖いこと。作っている時、住んでみてワクワクすることが大切」とプロジェクトの魅力について話す。
開場時間は10時~18時(金曜・土曜は20時まで)。プロジェクト工房は12時~18時。月曜閉場(祝日の場合はその直後の平日)。来年3月21日まで。ワークショップの申し込み方法などは同館のサイトで確認できる。