金沢市中心部を流れる浅野川で5月16日、「女川祭(おんながわまつり)~水の音~」が開かれた。会場は宇多須神社(金沢市東山1)と浅野川河川敷周辺。16時から21時にかけて行われる、灯籠の明かりや踊り、音楽を通じて、川と水の恵みに感謝するイベントだ。
浅野川河川敷の会場(写真提供=竹原彩加)
川への「ありがとう」と「ごめんなさい」
金沢では、街中を流れる2本の川のうち流れが穏やかで優美な浅野川を「女川」、川幅が広く流れが力強い犀川を「男川」と呼んできた。女川祭は、浅野川を主人公とする行事で、多くの命を育む川への「ありがとう」と、人間の都合で負担をかけてしまって「ごめんなさい」の気持ちを込め、祈りの踊りや音、明かりをささげるという。コロナ禍には開催が見送られたが、2022年に3年ぶりに再開し、浅野川の水文化を伝える恒例行事として続いている。
主催者の宇都宮千佳さんは「縁あって一夜限りの祭りを共にした人たちが、母なる地球の血管である川や、そこにすむ命に思いをはせ、尊び慈しむ気持ちを持てたら、それが水に伝わり、全てにつながっていくように思う」と女川祭の意義を話す。宇都宮さんは「女川に菜の花油の灯をともす会」の共同代表を務め、アユやゴリなど多くの生き物がすむ川を目指して活動しており、女川祭を通じても自然の大切さや金沢の水に関わる文化を次世代に伝えたいという。
日没を待つ竹灯籠(写真提供=瀧中健司)
この日の日没は18時55分。会場では夕暮れが深まるにつれて、キャンドルや灯籠の明かりが河川敷に浮かび上がった。明かりが最も幻想的に見え始めたのは、日没から30分ほど過ぎた頃。河川敷に揺れる光と、街並みの陰影が重なり、訪れた人たちは静かに見入っていた。
目立つ外国人観光客の姿(写真提供=竹原彩加)
会場周辺では、明かりに照らされた河川敷を眺めながら、踊りや演奏に見入る観客の姿が見られた。観光地のひがし茶屋街などに近い場所のため観客には外国人観光客の姿も目立ち、街並みだけでなく川辺にも目を向けるきっかけを与えていた。

幻想的な明かりを楽しむ参加者(写真提供=志田義寧)
浅野川は、ひがし茶屋街や浅野川大橋、梅ノ橋など金沢らしい景観を形づくる存在でもある。5月3日には「浅の川鯉流し」が開催されるなど、観光客や市民に親しまれている。女川祭は、川辺に集う人々が水の恵みと地域の文化に目を向ける良い機会を創出していた。
女川に菜の花油の灯をともす会
https://onnagawa.wixsite.com/akari
【地域の魅力探り隊 with 北陸大学】は北陸大学の協力の下で取材を行い制作した特集記事です。