石川県でキャリア教育支援マガジン「さくらノート」を発行する盤水社(金沢市彦三町1)が、12月8日までに同誌の富山県版を創刊した。
さくらノートは、地域の企業で働く人に取材し、その職業観や中高生に対するメッセージを語ってもらう内容の冊子で、石川県版は現在、県内の95%の中学校、高校に無料配布され、総合学習のテキストなどに活用されている。発行費用は協賛企業の会費でまかない、学校には無料配布しているのが特徴。2007年に石川県産業創出支援機構が主催するベンチャーコンテストで優秀起業家賞を受賞したほか、経済産業省の「日本を代表するソーシャルビジネス55選」に選ばれるなど各方面から注目を集めている。
富山県版は、富山県の学校関係者らの要望もあって今年3月から発刊準備を進めてきたもので、創刊号には県内の企業12社の社員が登場する。発行部数は3万5,000部で、県内のほぼすべての中学校、高校に配布する。
富山県は全国的に見てもキャリア教育に力を入れている自治体だが、各学校の就職担当の先生からは、「地元にどんな企業があるのか情報がない」という悩みが多く聞かれたという。同社の諸沢裕之さんは「先生方に石川版を紹介したところ、『こういうツールが欲しかった』『石川版でいいからすぐ送ってほしい』と歓迎してもらえた」話す。さくらノートの趣旨に深く共感する協賛企業も多く、ある経営者は自ら知り合いの経営者を回って同誌を紹介してくれたという。
同社の中山貴之社長は「富山県はわたし自身の出身地ということもあり、愛着もある。石川版以上に愛される冊子に育てたい」と意欲をみせる。今後は石川、富山で年3回ずつ発行する予定。
盤水社では、同誌が「横浜ビジネスグランプリ2009」で入賞したことをきっかけに今年10月に横浜事務所を設立し、来春には横浜版の創刊を目指している。