ギャラリーショップ&カフェ「コニーズアイ」(金沢市武蔵2、TEL076-204-8431)で開催されている「リキスツール展・段ボールで出来た家具」で、98歳の現役デザイナー渡辺力(わたなべりき)さんが手掛けた「段ボール」を使った家具シリーズが展示・販売されている。
エコに対する意識が高まる昨今だが、渡辺さんは1960年代に「段ボール」というリサイクル可能な素材の持ち味を生かした家具を制作していた。接着剤を一切使わず山折り・谷折り・はめ込み作業だけで組み立てる構造が特徴の繊細な作品は抜群に堅牢(けんろう)。六角形のいすひとつで1トンまでの重量に耐えるといい、発売当時は「4つのイスで象の体重を支えられる」と話題になった。また、積木のように積んで遊んだり、表面に絵を描いたりすることもでき、シンプルながらカラフルなデザインで子どもの想像力をはぐくむとも。ハイスツール(3,150円)とロースツール(2,625円)は、コンパクトな組立て用のキットとして「段ボールの箱」に収納され販売している。
渡辺力さんは1911(明治44)年生まれで東京高等工芸学校木材工芸学科卒業後、ブルーノ・タウトが指導していた群馬県工芸所を経て38歳で渡辺力デザイン事務所を設立。1952(昭和27)年にローコストのイス「ヒモイス」で注目を集めた。1956(昭和31)年には「トリイスツール」「円形センターテーブル」がミラノトリエンナーレで金賞を受賞。日比谷第一生命の「ボール時計」、東京ヒルトンホテル、京王プラザホテルなどの室内設計で広く知られ、現在でも時計や家具などのデザイン監修を中心に98歳の現役デザイナーとして活動を続けている。
同ギャラリー店長の小西さんは「優れたデザインの『いいもの』は時代を経ても普遍の良さがある。多くの人に渡辺さんの魅力に触れてほしい」と話す。会場にはイメージ音楽で知られる作曲家・阿部海太郎さんの「サウンドトラック・フォー・ディープロス」がBGMとして流れ、繊細な音色で渡辺さんの作品とともに空間をデザインしている。
営業時間は11時~18時。月曜・火曜定休。同展は今月15日まで。