「第6回金沢・世界工芸トリエンナーレ」が11月8日、金沢21世紀美術館(金沢市広坂1)などで始まった。
「時代と共に変化する工芸やその枠組みを問い、新たに生まれてくる工芸を金沢、そして世界に紹介する」ことを目的に2010(平成22)年に始まった。同館で行う公募展「2025金沢・世界工芸コンペティション」とフォーラム「第11回金沢・世界工芸都市会議」のほか、市内各ギャラリーで行う特別展「金沢の工芸の今」展で構成する。
公募展では大賞の川口淳平さんの作品「銹籐網代編玄籠(さびとう・あじろあみ・くろかご)『枝道(えだみち)』」を展示。川口さんは島根県の伝統工芸作家で、江戸時代から続く松江藩籐細工の8代目。波打ったように変形して見える籐の編み籠は、「籐の硬い部分と柔らかい部分を使い分けながら曲面に編んだ。籐はあめ色に経年変化するのに100年近くかかるが、この作品では5年ほどで変化するように染料を工夫した」と話す。
当日行われたフォーラムでは、同イベント主催の委員長で公募展審査員を務めた彫金の人間国宝・中川衛さんが川口さんの作品を「対話ができる作品」と評し、「若手作家がそれぞれの分野で新しい技法を考え出しているのが素晴らしい。次の時代に伝わっていけば」と期待を寄せる。同じく審査員を務めた国立工芸館長の唐澤昌宏さんは、「今回の出展作品を通して見ると、素材、技術、技法に向き合った本来の工芸が戻ってきた印象がある」と評した。
公募展は10時~18時。入場無料。今月26日まで。